黄瀬君、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？２

５３　黄瀬君の手 ページ24

『｢どこにいると思うっスか？｣』








いきなり後ろの方で黄瀬君の声がした。



｢うなっ!?｣







｢全く、だからあれほどナンパには気をつけてって言ったのに｣





ん？なんで黄瀬君は私がナンパされたことを知ってるんだ？







｢…いつからいたの？｣





｢うーん…Aっちが逃げ出したときぐらいっスかね〜。


声かけようとしたらいきなり走り出して…いやはや速かったっスね？



途中で見失っちゃって見つけるの大変だったんスからね｣




マジでか…！気づかなかったんですけど。




｢まあ、なにもなくて安心したっス。



ホントに気をつけて欲しいっスよ…｣






そう言って黄瀬君は怒ってるような、安心してるような複雑な顔をした。





｢ごめん…｣





｢オレが来てなかったら、どうなってたことか…｣






なにやらボソボソと呟く黄瀬君の手は少しだけ赤く腫れていた。







ああ、もしかして黄瀬君は見失ったんじゃないのかもしれない。








｢ダメだよ…｣






｢へ？｣





｢黄瀬君は海常高校のスタメンなんだから手、ケガしたらダメ｣







もし、そのケガが殴ってできたケガなら…







｢冷やして｣





私はそう言って自販機から缶ジュースを買って黄瀬君に渡した。





バスケ部のライバル校のマネージャーなのに、




普通なら知らないフリをするハズなのに、





黄瀬君は私を助けてくれたのに、





私は黄瀬君になにもして上げられないから、








せめてこれくらいは役に立ちたい。



｢…じゃ、甘えさせてもらうっス｣






｢うん！｣

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