相反恋愛 Ⅲ【ドラコ・マルフォイ】 (ページ48)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:110,630 hit

Story 140 ページ48

＊

狭い正方形の空間に6人も入ればギューギューで、受話器に手が届かない。

『受話器に近い人、ダイヤル！62442！』

最も受話器に近かったロンがダイヤルを回すと、電話ボックスに落ち着き払った女性の声が響いた。

「魔法省へようこそ。お名前とご要件を仰ってください。」

『マユ・ディオリス、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、ネビル・ロングボトム、ルーナ・ラブグッド。ある人を助けに来ました。』

「ありがとうございます。外来の方はバッジをお取りになり、ローブの胸にお着け下さい。」

女性の声がした後に、6個のバッジが釣り銭が出てくるコイン返却口の受け皿に滑り出てきた。

バッジにはこう記されていた。

マユ・ディオリス救出任務

なんじゃこりゃ。

「魔法省への外来の方は、杖を登録致しますので、守衛室にてセキュリティ・チェックを受けてください。守衛室はアトリウムの一番奥にございます。」

『分かりました』

私がそう返事をすれば、電話ボックスの床がガタガタと揺れ始める。

電話ボックスのガラス窓越しに歩道が迫り上がり始めた。

気づいた時には既に魔法省内にいた。

「魔法省です。本夕はご来省ありがとうございます。」

その声とともに電話ボックスのドアがパッと開く。

今いるアトリウムには、黄金の噴水が絶え間なく吹き上げる水音しかしない。

流石にこんな場所にはいないか。

『こっち。』

私は先頭に立って噴水を通り過ぎ、守衛室へ向かった。

本来ならガード魔ンが座っているデスクに、今は誰もいない。

必ずここに座ってるはずなのに。

不吉すぎる。

エレベーターに向かう金色の門をくぐりながら、私はますます嫌な予感を募らせていた。

一番近くの下の階へ行くボタンを押すと、直ぐにエレベーターが到着。

それに飛び乗り、9を押す。

金の格子扉がガチャガチャと大きな音を立てているのに、誰一人として姿を現さない。

ガード魔ンはどこに？

エレベーターが止まると、落ち着き払った女性の声が告げた。

「神秘部です。」

格子扉が横に開いた。

廊下を出ると、何の気配もしない。

神秘部に足を踏み入れたのは、今回が初めて。

目の前の取っ手のない黒い扉は、私たちを招き入れるかのようにギィッと音を立てて開いた。

中に入れば、そこは大きな円型の部屋だった。