相反恋愛 Ⅲ【ドラコ・マルフォイ】 (ページ32)

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Story 124 ページ32

＊

結局、ハーマイオニーはどこにもいなかった。

おまけにハリーも、ロンも。

なんでこーゆー時に限って誰もいないんだよ

どうしようもないので渋々寮に戻ることにした。

グリフィンドール生たちは楽しいことが大好きで、ホグズミードには必ず行く。

だから寮の中には誰も残っていなくて

いつもならガヤガヤして騒がしい談話室が、しんとしていることに違和感を感じる。

孤独すら感じてしまう。

『…ッ、は、ぁ…』

誰もいないソファーに崩れるように座り込む。

ばか

ばか

ばか…っ…

『ドラコの、ばか、ッ…』

＊＊＊

バレンタイン事件から数日がたったある日のこと。

突然玄関ホールで一人の女性が悲鳴をあげていた。

トレローニー先生だ。

玄関ホールのど真ん中で、片手に杖を持ち、もう一方の手に空っぽのシェリー酒の瓶を引っ提げている。

髪は逆立ち、メガネがずれ落ちて片目だけが不揃いに拡大されて、何枚ものショールやスカーフが肩から勝手な方向に垂れ下がり、先生は今にも崩壊しそうだった。

その脇には大きなトランクが二つ。

一つは上下逆さまに置かれていたので、トレローニー先生のあとから階段を突き落とされたんだと思う。

怯えた表情を浮かべる先生の視線の先にいるのは、ガマガエル女。

トレ「いやよ！！いやです！！こんなことが起こるはずがない…こんなことが…あたくし、受け入れませんわ！」

アン「あなた、こういう事態になるという認識がなかったの？明日の天気さえ予測できない無能力なあなたでも、わたくしが査察していた間の嘆かわしい授業ぶりや進歩のなさからして、解雇が避けられないことくらいは、確実にお分かりになったのではないこと？」

気持ち悪い耳障りな甲高い声が、面白がっているように先生に向かって放たれる。

『あのくそガマガエル女ッッ…！！！！』

ハー「マユ落ち着いて！！」

ハーマイオニーに羽交い締めされ、走り出すのを制止される。

お前より、お前なんかより先生の方が立派な…ッ…

トレ「あなたに、そんなこと、で…できないわ！でできないわ！！あたくしをクビになんて！ここに、あたくし、もう…もう十六年も！ホ、ホグワーツはあた、あたくしの、い、家です！」

大粒の涙を流しながら泣き喚くトレローニー先生を、楽しそうな表情で見つめるあいつが言った。

アン「家だったのよ。」