二百六十二話 秘密 ページ16
Aside
目を開けると、久しぶりの光に一瞬目が眩んだ。
何日寝ていたのか、細かなことはわからないけれど、きっと随分長い時間寝ていたんだと思う。
重たくなった体を無理やり持ち上げると、右手に違和感を感じた。
それでふと右手を見てみると、乱歩さんが私と手を繋いだまま眠っていた。
『心配、かけちゃったかな……』
申し訳なくなって、乱歩さんの少し崩れた髪を撫でてみる。
すると、乱歩さんは目をゆっくり開けた。
「A……?」
『起こしちゃってごめんね、乱歩さん。心配、かけちゃっ……!』
乱歩さんは、私が最後まで言い切る前に、お腹に抱きついてきた。
『乱歩さ「……った」……え?』
「起きて、良かった」
本当に、とっても心配してくれたんだと思う。
乱歩さんの手のひらが私の背中に回って、強く強く、まるで存在を確かめるように抱きしめてくる。
私はそれを返すように、ぎゅっと抱きしめた。
『乱歩さん、心配させてごめんね……。あの……私如何して倒れたのかな?あと、今戦争は如何なってるの?』
「本当に心配したよ、もう……。
Aは駅で血を吐いて倒れたんだ。それを太宰が焦って連れ帰ってきた。
戦争の状況は今____」
『___大事な時期にごめんね』
乱歩さんから説明を聞いて、改めて大事な時期に倒れてしまったことを知る。
私が謝ると、乱歩さんは笑って言ってくれた。
「A、そういう時は「ありがとう」だよ」
『!うん』
私が笑うと、乱歩さんは笑い返して、すぐに真面目な表情になった。
「…さてA、詳しいこと話してくれる?
流石にこんなことがあってまで、聞かずに黙ってることはできないよ」
きっと、乱歩さんは頭いいから、気づいてたんだと思う。
私の秘密に。
でも、聞かずにいてくれた。
さすがにそろそろ、話さなきゃいけないよね。
『話すよ。私の今の状況を。
今呼べるだけの人たちを集めてもらえるかな?』
「いいよ」
そう短く返事をすると、乱歩さんは人を呼ぶために部屋を出て行った。
_____一人になって、深呼吸してみる。
まだ、もう少し時間がある。
私は終わりまでの時間に、やらなければいけないことがたくさん在るんだ。
314人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時