三十一話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(後編) ページ32
_____客間で心中の歌を歌っていた太宰は、突然目を見開き、歌をやめた。
「おい太宰、いい加減仕事を_____あれ?」
________太宰を注意しにきた国木田は、太宰がいなくなっていることに気づいた。
_____そして樋口と探偵社員達は_____
「我が主の為____此処で死んで頂きます」
そう言った樋口は四人に向けて銃を撃っていく。
一番近くにいた谷崎は、間に合わないと悟った。
しかし、覚悟を決めた谷崎に降りかかったのは、銃弾ではなく、誰かの血だった。
そして、それが誰の血かを悟った谷崎は、ズルッと座り込む。
谷崎の目の前には、全弾を自身の背中で受け、兄を庇ったナオミがいた。
「兄様……大丈…夫?」
ナオミは兄にそう聞いたかと思うと、力が抜けたようにドサッと倒れ込んだ。
それを受け止めた谷崎は、気を失った妹に叫ぶ。
「ナオミッ!!ナオミッナオミ、しっかりナオミ!
ナオミッ目ェ開けて!」
敦は、目の前でナオミが倒れたことに混乱し、ぺたんとその場に座り込む。
Aはそんな三人の様子に、唇を噛んだ。
「ど、どどうしよう……。
し、止血帯。敦くんAちゃん、止血帯持ッて無い?いや先ず傷口を洗ッて……違う、与謝野先生に診せなきゃあ……」
混乱した谷崎は、敵が目の前にいるにも関わらず、そんなことを言い始める。
しかし樋口はそんな事お構いなしに、新しい銃弾を装填していった。
「い、医務室まで運ばないと。敦くん足持ッて__」
「そこまでです」
ようやく考えがまとまったらしい谷崎がそう言うと同時に、谷崎の頭にジャキッと銃が押しつけられる。
樋口は淡々と、谷崎に告げた。
「貴方が戦闘要員でないことは調査済みです。健気な妹君の後を追っていただきましょうか」
「あ?」
谷崎は、樋口の言葉を聞いた瞬間、普段出すことのないドスの聞いた声で、樋口の方を振り向く。
そして殺気を放ちながら、ナオミを抱えて立ち上がった。
「チンピラ如きが____ナオミを傷つけたね?」
「!」
「【細雪】」
低い声で谷崎がそういうと、その場に一陣の風が巻き起こる。
そして、どこからか青みを帯びた雪が降ってきた。
「(雪……?この季節に?)」
『!敦くん、奥に行くよ!谷崎くん、ナオミちゃんは預かる!』
「うん、ナオミをよろしく」
『うん!』
二人はそう話しそれぞれ別れた。
三十二話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(後編)→←三十話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(前編)
254人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時