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二十八話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(前編) ページ29

敦たちが仕事に向かった後、探偵社では、国木田が客室に掃除機をかけていた。


掃除機から発されるウィ〜ンという騒音の中、太宰はソファに寝転がりヘッドフォンをしている。



国木田の視線も気にせず、太宰は遂に歌まで歌い始めた。




「一人では〜、心中は〜、できない〜♪
二人では〜できる〜♪すごい〜♪」




そんな太宰の様子に腹が立ったのか、国木田が話しかける。




「オイ邪魔だ。除け」




しかし、太宰は手をひらひらと振るだけで、一向に動こうとしない。

国木田はそんな太宰の様子にさらに機嫌を悪くした。




「全く、何故こんな奴が探偵社に……。我が理想にはこんな………」




そう呟くと、国木田はぱっと太宰からヘッドフォンを取り上げる。

太宰は、あ、と声を漏らした。




「おい太宰!仕事は如何した!」




そうくわっと怒鳴る国木田。


しかし国木田は次の瞬間、取り上げたはずのヘッドフォンが手元にないことに気づいた。

太宰を見れば、再びヘッドフォンをつけて、鼻歌を歌い始めている。


太宰は国木田を振り返ると、一言だけ、先程の質問に答えた。







「天の啓示待ち」

二十九話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(前編)→←二十七話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(前編)



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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時

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