ボカロ曲を小説にしてみた〜第１弾〜

からくりピエロ　-浪野郁音さんリクエスト- ページ10

『ＯＫだったら、土曜日の２時に駅前のハートのピエロの前に来て下さい』

そうレンに気持ちを告げ、私は彼を待っていた。
ハートのピエロとは、この街のちょっとした名所で、ここでは素敵な出会いがあったり告白が成功したりという噂があった。

周りには、私みたいな人ではなく、いかにも彼氏と待ち合わせという感じの女の子やカップルが歩いていた。

「…さよなら。」

私は家まで、一度も休まずに走り続けた。

…分かってる。
待ち合わせから２時間も過ぎているのに待ってる私は、馬鹿だ。

――もしかしたら、あと５分で来てくれるかも。
――もう少し、待ってみよう。
――私が間違えてた時間を言っていたかもしれないし。

そうやって、来るはずもないレンを待って。

「…っは、あ…」

何も言わずにリビングを通り過ぎて、真っ直ぐに自室のベッドに飛び込んだ。
その瞬間、こらえていた涙が溢れた。

…結局私は、レンの元へは辿り着けなかった。

仕方無いんだよ。今までずっと、友達だったんだもん。
今更好きだとか、付き合ってだとか、言っちゃだめだったんだよ。

それだけなのに――…

「っ…期待して…馬鹿みたい……」

その時、机の上の写真が目に入った。

――レンの写真。
修学旅行の写真を買う時、親にばれないようにこっそり買ったものだった。

「……っ」

私は、立ち上がって駆け出した。


――ずっと、変わるのが怖かった。
仲良しな男友達。それだけで満足できない自分が悪いんだと思ってた。
この関係のまま、変わらない方がいいんじゃないかって。

でも、今…決めた。
私が、君を迎えに行こう。

「今まで通り、友達でいよう」「Aとは付き合えない」

そうやって言われたって構わない。
だってどうせ壊されてしまうなら、最後に君の顔を見たいよ。


「君の笑顔に、君の仕草に、私は壊されてしまったから」

――最後まで私は、貴方に、操られてしまおう。


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カナシキヒステリックガール→←ゆるふわ樹海ガール　-遊楽リクエスト-

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