ボカロ曲を小説にしてみた〜第１弾〜

BadBye　-遊唄リクエスト- ページ8

「さあ、世界を終わらせよう」

僕は“ボク”の左手を握って言った。

『…本当にいいんだね？』
「キミこそ。僕が消えれば、キミだって消えることになるよ」
『そんなのは構わない。過去なんて過ぎてしまえば消えたようなもんさ』

僕よりも少し幼い“ボク”はそう答える。
やっぱり“ボク”はいい奴だ。

僕を評価してくれる。


『君だってボクだってこの歴史を刻む一人だったわけだけど、どう思う？
ボクらはこの世界に生まれてきて、この世界を少しでも変えられたかな？』

それに対して、僕は鼻で笑ってやった。

「馬鹿なこと言うなよ。過去の自分と手を繋いでなきゃ生きられないのに、そんな奴が歴史を変えるなんて」
『馬鹿なのは君じゃないか？』

“ボク”が、手を解こうとした。
しかし僕はそんなことはさせまいと、強く握る。

『ほらね、ボクは過去を捨てたって構わないんだ。でも君はそれが怖い。
馬鹿なのは君だよ』
「っ……！」

痛い…いたい！
過去の僕のくせに、何でそんなことを言うんだ！！

「黙れよ！！」
『なら、手を離せよ』

僕の目からひとつ、透明な雫が落ちた。

『片手じゃあ無理だ』

“ボク”は僕に、自由な右手を振って見せた。

ぽつぽつと、僕の目から涙が落ちる。
その涙が落ちる先は、僕が、“ボク”が、大嫌いだった世界。

そして、その涙を落としているのは、僕が、大嫌いな、僕。


僕は、右手から力を抜いた。
するりと、僕の手から“ボク”の手が抜ける。

『さあ』

“ボク”は、僕の首に両手をかけた。

『ボクの手で、僕の歴史を、終わらせよう』


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ゆるふわ樹海ガール　-遊楽リクエスト-→←ハロ／ハワユ

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