ボカロ曲を小説にしてみた〜第１弾〜

ルービックキューブ　-遊楽リクエスト- ページ47

「おはよう、レン」
「おはよー。…あ、ミク、おはよ！」
「レンおはよー」

ほら、また、なんか、ズレてる。

「なー、数学の宿題やってきた？」
「一応ね」
「頼むミクっ！見して！」
「えー、またぁ？」

声は嫌そうだけれど、笑顔なミク。
そして、レンの目と耳は、ミクに奪われていく。
私なんか、見向きもされない。

こんなに、好きなのに。

「また、探しに行かなくちゃ…」

君の目と耳を見つけるために。
クルクルと、立体形のパズルを。

「あれ？」

さっきまであった片目が、違う場所にいっちゃった。
やっぱり耳も目も、見つからない。

あぁ、難しいなぁ。

「あ、目」

目が見つかったから、レンがこっちを向いてくれた。
けれどまたすぐに、向こうを向いてしまう。

もう一回、戻さなきゃ！

「こっち？あ、今度は心がなくなっちゃった…」

あっち？そっち？こっち？どっち？
全て、違う。

君の顔が、グチャグチャになっちゃった。

「訳わかんない！」

バン、と、その立体を机に叩きつける。
その時、机の上に真っ赤な色が広がった。

「ひっ」

思わず息をのむ。

本当は、それはただのルービックキューブで、投げた時に運悪く絵の具のチューブに当たり、中身を飛び散らせてしまったのだった。
けれど私には、それが鮮血にしか見えなかった。

最近の私は狂っている。
ただのルービックキューブに君の姿を重ねて、毎日それに没頭するだなんて。

狂っているのは分かっているけれど、それを止めることはできなかった。

「ごめん、ごめん、痛いね…」

慌てて、君を手に取る。

「…でも、君が、私を見てくれないのがいけないんだよ」

絵を合わせ、色を合わせ。
それでも、本物の君は、私を見てくれない。

どうしたら、君の目を、耳を、心を、捕まえることができるの？

「いつになったら、解けるのかなぁ・・・」

いつまでも、解けないのかなぁ。
いや、もう、いっそのこと。

「バラバラに、しちゃおうか」

絵も、色も。
目も、耳も、心も、鼻も、口も、全て。

二度と戻らないように。
二度と、あの子を見れないように。

バラバラに、壊してしまおうか。

「…悪いのは、君だもん」

君が、悪いんだもん。
それだけを唱えて、自分は悪くないと思い込んで。

今日も私は、ルービックキューブを回す。


ＥＮＤ

人柱アリス　-華奈さんリクエスト-→←罰ゲーム　-遊楽リクエスト-

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