ボカロ曲を小説にしてみた〜第１弾〜

キミ想い、片想い　-玲歌リクエスト- ページ45

「…なに？話って」
「えっと…実は、俺さ…」

人気のない学校の裏庭。
そこに、「話がある」って呼び出されて。
これって、告白フラグでしょ？

そう、思っていたのに。

「実は俺――好きな子がいるんだ」

話の内容は、ワタシが思っていたのとは、全然違った。

「――…あ……そう、なんだ」
「ミクが、好きなんだ。だから、仲の良いAに相談に乗ってほしくて…」
「うん、いいよー！ワタシにできることなら何でもっ」
「まじか！ありがとうな、Aっ」

レンが笑顔でワタシの名前を呼ぶ。
それはとても嬉しいことのはずなのに、全然嬉しくなかった。

…だって、入学した頃から、レンが好きで。
それでやっと、最近話せるようになって、仲良くなったのに。
それなのに、こんなことって…

「てかさ、ミクって彼氏いんの？」
「あー…いないって言ってた」
「そっか！好きな人とかは？」
「…さぁ……」

いないよ。
ミクは芸能人で好きな人がいるから、クラスの男子の話なんてしたことない。
だからきっと頑張れば、レンのことも好きになってくれるかもしれないよ。

って、そう、言いたいのに。
ワタシの唇はいじわるで。

「そっかー、いないといいなぁ・・・」
「そうだね…応援、してるからっ」
「おう！Aが味方だとまじ心強いわー」

本当はキミのことが好きで、応援なんてしたくないのに、嘘なんて吐いて、嫌われないように、なんて。

でもワタシ、どうしたらいいかわかんないの。

やっと縮まったと思ってた距離が、実は、こんなに遠かったなんて。
ワタシは、恋愛対象でさえないだなんて。

「あ、今度さー、俺の友達誘うから、４人で遊んだりしない？」
「そうだねー、ダブルデート的な感じで！」
「Aは好きな奴とか狙ってる奴いないの？いたら、そいつ誘うよ？」
「あー…特に、いないかな」

嘘だよ、いるよ、キミだよ。
なんて言ったら、困らせるだけだから。

だから、言わない。言えない。

「そっかー…んじゃ、適当にいい奴誘ってみるわ」
「うん」
「ミク、来てくれるかなぁ・・・」
「……大丈夫だよ、きっと…上手くいくよ」
「…そうだな！」

本当は行かないでって、二人だけで行こうって、言いたいけれど。
でも、我慢するから。
ワタシの気持ちには、鍵をかけておくから。
だから、お願い。

もう少し、キミの隣で、片想い。


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