ボカロ曲を小説にしてみた〜第１弾〜

ディスコティック★ラヴ　-96猫嵐さんリクエスト- ページ40

今日こそはAに話しかけるんだと、決意をして、此処に来た。
今日も彼女は、揺れるフロアの上で、キラキラと輝いている。

「よしっ…」

軽く、深呼吸をして。
ミラーボールの光と一緒に踊るAに、そっと近づく。

昨日はここで、他の奴にジャマをされて、Aはそいつの方に行ってしまった。
今日こそはそんなことがないように、しっかりと名前を呼ぶ。

「あのっ…A、ちゃん！」

下の名前しか知らないから、心の中ではAと呼んでいたけれど、向こうからしたら俺のことなんて知らないわけだし、いきなり呼び捨てはなれなれしいかな、と考えて、ちゃんをつけた。

するとAは、くるっとテンポよく振り返った。

「あ、レン…くん！」
「えっ」

思わず、声が裏返ってしまった。
かっこわりぃ…

でも、まさかAが俺の名前を知ってるなんて、思わなかったから。

「俺の名前…何で知ってんの？」
「えっ！…あ、そ、そんなこと言ったら、レンくんだって！
何で私の名前知ってるの？」
「そ、それは・・・」

好きだから、なんだけど・・・
そんなこと、言えないし。

「だって、Aちゃんダンスうまいし…有名だし」
「有名じゃないよー！ていうか、ちゃん付けじゃなくていいよっ」
「そう？あ、じゃあ俺も、呼び捨てで…」
「分かったぁ、レン！」

よし、一歩近づいた！…かな？

でも、昨日の男みたいに、もっとリードしないと！
じゃなきゃ先を越されるし、Aも振り向いてくれない。

「Aはさ…かっ、彼氏とか、いないの？」
「いないよー！レンこそ、可愛い彼女さんいるんでしょ？」
「へっ！？いないよ」
「本当にー？いそうなのに」

そんな風に無邪気に笑う、A。

「……彼女になる予定の子は、いるけど」
「えっ？――ごめん、音楽うるさくて、聞こえない…もう一回言って？」
「いや、なんでもない！」

もう一回なんて、言えるわけないだろ！
ていうか、わざと聞こえない大きさで言ったしな…

でも、いつかはそれが言えるように――…

「あっ…もう時間だ。また今度、会おうね！」
「おう、また！」

手を振って、Aが去ろうとする。
でも、今度って、いつ――？

「っ…A！」

今、言うんだ！

「…明日！ここで、会える？」
「……うん、また明日ね！」

Aはそう言って、微笑んだ。
そんな俺達の、ディスコティック★ラヴ。


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光と影の楽園　-風月さんリクエスト-→←深海少女　-いりごまさんリクエスト-

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