千本桜 -雷世リクエスト- ページ23
「はぁ」
小さくため息を吐いて、空を見上げた。
――青い、澄み切った空。
この空を飛ぶことができたなら、レンに会いに行けるのに。
「A!!」
「はい?」
その時、お母様が勢いよくふすまを開けて私を呼んだ。
そんなに急いで…どうしたのでしょう?
「A、今さっき電報があったのだけれどね――…」
「――!」
私はそれを聞いた途端、思わず立ち上がっていた。
『レン様が、此処へ帰ってくるんですって!』
それは私にとっては、ひどく嬉しく驚きの出来事だった。
レンは私の恋人なのだ。
しかし、レンは仕事の関係で故郷を離れていて、此処に帰ってくることは年に数回しかない。
だから、彼が帰ってくるという報せは私が毎日待ちわびていることだった。
「『千本桜の下で待っていてくれ』とのことだそうよ」
「お母様、私…!」
「えぇ…いってらっしゃい!」
私は着物と髪が乱れないように頭を軽く下げて、駆け出した。
千本桜…この地域ではとても有名で、この時期はよく想いを伝えるときや恋人通しの待ち合わせに使われる場所だった。
久しぶりにレンの声が聞ける…それだけで、十分だった。
「はぁ、……」
私がどんなにレンに会いたいと嘆いても彼には聞こえないし、彼の声だって私には届かなかった。
だから彼のためなら、いくら東奔西走したってかまわないと思った。
「……レン…」
千本桜の近くに着き、きょろきょろと周りを見回す。
…そんなに、早く来れるわけがないわよね・・・
「…やはり、今日中には無理かしら――」
「Aッ!!」
その時、鋭く名前を呼ばれた。
――振り返らなくたって分かる。
私が毎日、待ち望んでいた声――…
「…レン」
「良かった…間に合って」
「どうして…突然…?」
「少し自由な時間ができたんだ。だから、Aに会いたいと思って」
もう、その言葉を聞けただけでも良いと思った。
けれど、会ったからには、それだけじゃあ足りなかった。
「…でもすぐ、行ってしまうのでしょう?」
「まあね。明日には…発たないと、いけないんだ」
やはり、幸せは長くは続かないものだった。
それでも…出来る限り、一緒にいたい。
「レン…私、毎日、願っているわ」
「…うん」
「だから、いつか…ずっと此処で、」
一緒に、千本桜を、眺めていられますように。
END
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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あか(プロフ) - 阿修羅 時雨 恋輝叶さん>まっちゃアイスさん>こちらの小説はもう完結しています!なので、続編の方に改めてコメントお願いいたします;; (2012年7月23日 19時) (レス) id: 537650310a (このIDを非表示/違反報告)
あか(プロフ) - 雷世>まじかよ・・・1位とか私100年かかっても無理だわww バーチャル少女さん>神じゃないですよ紙ですよww 続編、今のところ作る予定ですー! (2012年6月30日 20時) (レス) id: 537650310a (このIDを非表示/違反報告)
雷世(プロフ) - 学力テストは10位以上でおk何だけど期末は1位じゃないとというね・・・(´・ω・`)つか今度から全教科85点以上取らないと買ってもらえないという仕打ち・・・ (2012年6月29日 21時) (レス) id: b8f8948618 (このIDを非表示/違反報告)
あか(プロフ) - 雷世>あれ、10位はだめなんだっけ!?てかうちの学校、学年順位とかまだ出てないんだが・・・成績出たら出るかなぁ (2012年6月29日 20時) (レス) id: 537650310a (このIDを非表示/違反報告)
雷世(プロフ) - どっちもあったよーな・・・← あ、学年順位10位でゲーム買い損ねた\(^o^)/ (2012年6月29日 19時) (レス) id: b8f8948618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あか | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=akanekazemaru
作成日時:2012年2月20日 20時