ボカロ曲を小説にしてみた〜第１弾〜

トゥインクル　-遊楽リクエスト- ページ13

「おっはよ、A！」
「あっ…レン！おっはよー」

自然に、自然に。

「課題、ちゃんとやってきた？」
「ふっふーん。今日の俺は偉いんだぜっ！」
「はぁ！？…なーんだ。見せてやろうと思ったのに」
「残念だったな！」

そんな風にバカみたいな会話をするのは、毎日のこと。

あたしとレンは幼馴染で、仲が良くて、でもあたしは、それが気に入らない。

…だって、それって、『そこまで』ってことじゃない。
幼馴染のラインを越えて、恋人になることは、できないじゃない。

「まあでも、また今度見せてくれよ？」
「…どーしよっかなー」
「え、ちょ、A！Aいなかったら俺死んじゃう！」

きゅん。
…「Aいなかったら死んじゃう」、だなんて。

もうほんとに、ありえない！
そんなこと言われたらドキドキしすぎて、あたしの方が死んじゃう！

…どうせ、本当に必要なのはあたしじゃなくて、課題だってことは分かってるけど。

「ばーか。ミクちゃんにでも見せてもらえば？」
「何で？俺別に、あーいうのにはキョーミないなー」

ミクちゃんは可愛くて、クラスで…というか学校で一番人気な女の子だと思う。

「あいつよりはAかなー。なーんてっ」
「…ばかじゃないの」
「え？本気にした？照れてんの？？」
「照れてないよ、バカ！///」

学校で一番の女の子より、あたし、だって。
ねぇ、そんなこと言われたら、いくら幼馴染だってきゅんってしない？

…でも、レンの気持ちは冗談なんだよね。
あたしはこんなにレンのことを想ってるのに。
当の本人はあたしの気持ちに気づいてくれなくて、冗談で好きとか可愛いとか言って。

このままじゃあたし、毎日きゅんきゅんしすぎて死んじゃいそう。

「はは、Aかわいーい。ツンデレー！」
「バカ、死ね！」
「死ねとかゆーなばーか！」

べっ、と舌を突き出すあたしとレン。

今の「かわいい」が、本気だったらいいのに。
そしたらあたしだって、レンに告白する勇気がでるのに。

そりゃあ、少しは脈アリかもって、思うけどさ。

でもやっぱり、まだ幼馴染でいたい。
というか、告白して幼馴染でさえなくなってしまうのが怖い。
できることなら、恋人になりたいけど。

「ほんっと、レンってバカ。」

でも、そんなとこがほんとに大好きで。

いつか、苦しい片想いを卒業して、両想いになれるといいな。


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