47 ページ5
-
you side
｢ｰｰｰｰｰｰ……あ、兄貴、まさかコイツ…｣
｢この女の錠を外してやれ。油断はするなよ
何しろ世間をあれだけ振り回した大怪盗だ｣
あれから一週間が過ぎた。…といっても、
正確な時間は全く分からないので感覚的にだが。
初めてジン以外の人間がこの部屋に訪れた。
ジンの側近であるウォッカである。やはり彼も
私のことを知らされていなかったようだ。
(…二人となると……)
てっきりジン一人が私の手錠を
外すのだとばかり思っていた。
こうなると少し厳しいかもしれない。
一旦様子を見てから…けれど、キャンティや
コルンが加わっては勝ち目はゼロに等しくなる。
｢兄貴、電話が｣
｢……どうした｣
葛藤していればスマホの通知音が鳴り響いた。
恐らく仲間からの電話だろう。黙って音声を
耳にしていたジンの表情が少し変わった。
……機嫌が悪くなった、そんな顔だ。
｢チッ、…厄介な真似しやがる｣
そう言うとウォッカを置いて部屋を
出て行こうとしたジンが、後ろを振り返った。
｢ウォッカ、そいつを連れて指示した場所に来い。
……あぁ、残念だったな。
錠は外すと言ったが手錠は外さねぇ｣
最後の言葉は間違いなく私へ向けたものだ。
どうやら手錠を壁に繋いでいた鎖は外すようだが
電子式の手錠を外してはくれないらしい。
しかもこの手錠、ただの手錠には思えない。
｢無理に外そうとしても無駄だぜ…？
まぁこの一年で分かっただろうがな。
それは俺がスイッチを押せば一瞬で爆破する｣
｢……本当に趣味の悪い男ね｣
｢両手が粉々になってもいいなら
好きなだけ外すといい｣
やはり、そういうことか。
ぎり、と下唇を噛み締めた私を満足げに
見下ろしてから今度こそジンは部屋を出て行った。
初めから私の思考など読んでいたのだろう。
(……両手、)
ガチャン、としっかり
部屋の扉が閉まったところで。
ウォッカが強引に腕を引っ張ったと同時に彼の頭を
壁に蹴りつけた。そして意識を失った彼のスーツから
携帯電話を取り自身のポケットに何とか押し込む。
｢…っ、…ぁ……｣
長く歩きもしなかったせいで、足を
踏み出そうとしたら床に倒れてしまった。ろくな
手当もされてない脇腹もずくんと痛み始める。
(時間が、無いのに……！)
ジンに気付かれるのも時間の問題だ。
一刻も早くここを脱出しなければ、と
震える両膝をなんとか硬い床に立てた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 430人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ringo6349(プロフ) - 暫く占ツクを離れてましたが、久々てなさんの作品を読んで本当に良かったです泣 完結お疲れ様です＆ありがとうございました！また降谷さんとの幸せな日々やジンに追われていた時の話などありましたら是非読みたいです！お体をお大事になさって下さい！好きが止まらない (2019年3月26日 21時) (
レス) id: 66d3f8785b (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです！！ (2019年2月22日 21時) (レス) id: 74107eb362 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - BARAPIさん» ありがとうございます！お薬のおかげで順調に回復気味です…！ある程度元気になったら番外編書きたいな〜って思っております！ひぇぇ嬉しい……感激です(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2019年2月20日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
BARAPI - お疲れ様でした!!体調大丈夫ですか?よくなったら番外編かいてくれると嬉しいです!!この小説も作者さんも大好きです! (2019年2月20日 21時) (レス) id: 281a5b8b80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てな
| 作成日時：2019年2月16日 21時
