検索窓
今日:6 hit、昨日:18 hit、合計:78,097 hit

53 ページ11

.

Furuya side



「解毒薬の研究は捗っているのかい?」

「まだ少しかかるみたいだけど
そう遠くはないみたい」

「じゃあ、江戸川コナンとはもうすぐお別れだね」




「えへへ」と嬉しそうに笑うコナン君の額には
ガーゼが貼られている。ジンを含む組織の幹部達を
一網打尽にした功績とでもいうべきか。


アイスティーを彼の前に置き
引き続きお皿を洗おうとすれば
カウンターを挟んだ彼の表情が少し曇った。





「……明日なんでしょ?いいの?」




空港に行かなくて、と僕を見上げたコナン君に
「僕は仕事があるから」と言って微笑めば
苦虫を噛み潰したような顔をされた。





「アイリーンの身柄はFBIに引き渡す…
その見送りを公安の僕がするのはおかしいだろう。
………それにね、コナン君」









「思ったよりも寂しくて、自分でも驚いているんだ」





かちゃ、と皿を食器棚に戻しながらさりげなく
漏らした本音にコナン君が目を見張った。



彼女をずっと探していたのに、
まるで横取りされた気分だった。

まぁ横取りも何も彼女は赤井と
結ばれたかっただろうから
これは僕の独りよがりにすぎないのだが。






「会ったら引き止めてしまいそうでね。
散々振り回したくせに、自分は
アメリカに行くのかよ……って」




少しふざけた言い回しをしたつもりだったが
コナン君は笑わず苦しそうに俯いていた。

僕は上手に笑えていただろうか。







「……これが、正解なんだよ」






もう彼女を縛るものは何も無い。赤井も
自身の罪を彼女と共に償い、生きていくのだろう。
「安室さん…」とコナン君が小さく呟いた。



彼女の話はこれで終わろう、と
から元気の笑顔を浮かべようとした刹那。


CLOSEの文字が表向きになっていたはずのドアが
突然勢いよく開けられた。今は閉店時間を過ぎた
深夜帯で、客なんて来るはずもないのだ。









.









「ーーーーーーーー……大間違いよ、降谷零」







いつか出会った時のように。

黒いレースから見え隠れするその表情は、
相変わらず僕を翻弄させるものであった。








.

54→←52



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (252 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
428人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ringo6349(プロフ) - 暫く占ツクを離れてましたが、久々てなさんの作品を読んで本当に良かったです泣 完結お疲れ様です&ありがとうございました!また降谷さんとの幸せな日々やジンに追われていた時の話などありましたら是非読みたいです!お体をお大事になさって下さい!好きが止まらない (2019年3月26日 21時) (レス) id: 66d3f8785b (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2019年2月22日 21時) (レス) id: 74107eb362 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - BARAPIさん» ありがとうございます!お薬のおかげで順調に回復気味です…!ある程度元気になったら番外編書きたいな〜って思っております!ひぇぇ嬉しい……感激です(*゚▽゚)ノ (2019年2月20日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
BARAPI - お疲れ様でした!!体調大丈夫ですか?よくなったら番外編かいてくれると嬉しいです!!この小説も作者さんも大好きです! (2019年2月20日 21時) (レス) id: 281a5b8b80 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:てな | 作成日時:2019年2月16日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。