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Furuya side



「………」



直に瞳へ当たるブルーライトが眩しい。
ノートパソコンをパタンと閉じて
布団の上へ無造作に寝っ転がった。





(…、……結局何もかも変わっていない)




あっさりと彼女は僕の元からいなくなった。
恐らく一人で奴らの元へ行き、交戦になったのか
無事自由の身となったのか。

はたまた海外でのんびり隠居でもしているのか。




「はは、……馬鹿みたいだ」




アイツ程の実力者が帰ってこないとなれば
事態は危ういのかもしれないと思っていたが。


考えてみれば帰るも何も、あの女の帰る場所は
少なくとも僕の元ではないのだ。僕を頼ることなく
あの時出て行ったことが、その証拠である





(…どうして、僕を頼ってくれなかったんだ)





彼女を一人で行かせるべきではなかった。

どうしようもない後悔が頭の中をぐるぐる巡って、
どっと重い疲労をようやく感じてきたところで
スマートフォンが通知を知らせた。





「…非通知」




僕の電話番号を知っている人物。
こんな深夜に一体何の用だ、と
思いながらも通話のボタンをタップした。






『…………』


「もしもし、」



『……………』






スピーカーの向こうは雑音も人の話し声も
聞こえない。ただひとつ
聞こえるのは、誰かの呼吸音だった。




(かなり荒いな…乱れている、)




過呼吸ほどではないが普通の呼吸とは言い難い。
「もしもし、大丈夫ですか」ともう一度問いかけると、
相手が何かを口にしようとするのが分かった。






『…っ、……』








(………嘘、だろ…)






垣間見えた可能性は、僅かに聞こえた吐息で
確信に変わった。この声の主がもし
ーーーー仮に彼女のものだとすれば。









.









『ーーーーーーー……もう、私のこと、は…忘れて』









…ぶつん、と切れてしまった通話画面を
茫然としたまま見つめていた。

紛れもない、一年ぶりの佐々木Aの声だった。









(………忘れて、か…)








どう考えたって海外でのんびり
隠居している状況ではないのだろう。


逆探知で探っても恐らく無効化だろうし、
暫く迷った末に電話帳の画面をタップした。
110番を打ち込むという選択肢はてんで無かった。









「……もしもし安室です…話したいことがあります」

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ringo6349(プロフ) - 暫く占ツクを離れてましたが、久々てなさんの作品を読んで本当に良かったです泣 完結お疲れ様です&ありがとうございました!また降谷さんとの幸せな日々やジンに追われていた時の話などありましたら是非読みたいです!お体をお大事になさって下さい!好きが止まらない (2019年3月26日 21時) (レス) id: 66d3f8785b (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2019年2月22日 21時) (レス) id: 74107eb362 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - BARAPIさん» ありがとうございます!お薬のおかげで順調に回復気味です…!ある程度元気になったら番外編書きたいな〜って思っております!ひぇぇ嬉しい……感激です(*゚▽゚)ノ (2019年2月20日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
BARAPI - お疲れ様でした!!体調大丈夫ですか?よくなったら番外編かいてくれると嬉しいです!!この小説も作者さんも大好きです! (2019年2月20日 21時) (レス) id: 281a5b8b80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2019年2月16日 21時

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