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youside



「っ…君がそんなに馬鹿な女だとは思わなかったよ」



私達を見て振り払われた手を撫でながら
男は顔を顰めてそう私に吐き捨てた。
「そんな下等な男を選ぶなんて」と加えて。


私を抱き締める彼の手に少し力が入り、
そしてバタバタと足音が聞こえてきた。




「ッA!!?」

「………」








「また貴方…!いい加減にしてくれる?
この子は私の娘よ、貴方なんかに…」

「ーーーーーーー彼女は貴方ではなく、僕を選びました」




顔も見たくない母親へ、私の代わりに
冷たい言葉を言い放った彼を茫然と見上げた。





「貴方のせいで彼女は今までずっと苦しんできた。
それともまだ分からないんですか。
…母親から愛を貰えなかった子供の気持ちが」


「………」


「でも安心してください。彼女が
『もういらない』と言うまで…僕が愛します」



勿論、その後もずっと。



そう言って再び私の手をとった彼に
優しく指を絡み取られた。
まるで硬直した母親を威嚇するように。





「〜っ!ふ、ふざけないでよ!!
この子は、Aは私がいないと……」


「ーーーーーーーお母さん」





(ここで、変わらないといけない)




ずっと彼女に怯えていた。けれど今は違う。
久しく呼んでいなかった"お母さん"という
名前を呼ぶと、隣にいた彼が私の指を柔く撫でた。








.







「………さよなら」






お母さんの手から永遠に離れることを伝えると

彼女は悔しそうに顔を歪めて、怒りを隠さずに
そのまま私の前から立ち去って行った。



きっともう二度と会うことはないだろう。






(……)







「…っきゃ…ちょ、ちょっと!?」




自分をこの世に産み落としてくれた
唯一の母親を失ったのだ。肩の荷が降りた
言うにしては、気分が落ち込んでいた。



すると、彼女の後ろ姿をぼんやり眺めていた私を
いきなり横抱きにした彼は、棒立ちになっていた
見合い相手ににっこりと笑った。







「お父様によろしく言っておいて下さい。
求人サイトは早めに見ておいた方がいいですよ、と」





さあっ、と男が顔を青くしたのを満足そうに見て
彼はホテルの駐車場へ歩き出した。









「……恥ずかしいから降ろして…」

「前から怪しいとは思っていたが、
まさか敵に情報をリークさせていたとはな…
きっと明日にでも証拠があがるだろう」

「ねえ、」

「これで僕の首も繋がったな」


「……」



人の話を聞かない所も、変わっていない。

epilogue→←41



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てな(プロフ) - まゆさん» わーありがとうございます!気づくの遅くなってすみません…!感動していただき嬉しみです(´∇`) (2019年3月10日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^最後は、すごく感動しました!これからも、頑張って下さい^_^ (2019年3月7日 14時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - かずささん» ありがとうございます!結構端折ってた部分もあったので過去エピソードとか結婚後のお話を時間があったら書いてみたい!!と思ってます(゜▽゜) (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - れいさん» ぴえありがとうございます〜!50話を超えてしまったので気が向いたら続編を作ってみたいなとか思っております… (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
かずさ(プロフ) - 私も結婚後の生活の話が読みたいです!できるならお願します! (2019年2月1日 22時) (レス) id: 189adfe0dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2019年1月20日 0時

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