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*


「ーーーーと、いうことで。そろそろ
九時を回る頃だし子供は家に帰ろうか」

「は、はぁぁあぁ!!?」




二階まで一緒に行こうか?と微笑を浮かべた僕に
もう話を続ける気は毛頭ないと察したのか
ぶすりと不貞腐れたコナン君は諦めて腰を上げた。


恋に落ちる瞬間、それは僕だけの秘密なのだ。




「安室さんって本当いい性格してるね」

「君だってあの胡散臭いハイネック野郎と
何か企んでたらしいじゃないか。お互い様だよ」



一生の不覚にも、沖矢昴の正体を暴こうと
牙を向いた結果此方が正体を暴かれてしまう
という大失態を嫌でも思い出す。

天才的な頭脳を持つこの子供は、
あの死に損ない野郎と悪巧みをしているようだ。




「沖矢さんと?僕知らなーい!」



議論をするつもりはないらしい。コナン君は
えへへと無邪気に頬を緩ませて
「おやすみなさい!!」とポアロを後にした





(………全く)





『いか、…行かないで……おねが、い』



掴んだ小さな手を離そうとしても、
そう嗚咽混じりに訴えられては
放せるわけがなかった。

……あんなに行かないでと縋ってきたくせに。









「今度は勝手に、僕を置いていくんだな……」




昔から何も変わらない。

身勝手で臆病で、僕の調子を狂わせる
世界でたった一人の女の子。手に入れたと思えば
指の隙間から出ていってしまう。






『ーーーーーーーー……零くん…』




離れ離れになって、彼女は俺の名前を
一度も呼んではくれなかった。
柄になく女々しい自分が嫌になってくる。




(………会いたい)





帰り支度をしながら、彼女から貰った紙袋を
何気なしにもう一度覗き見れば。





「……ん?」




メモが入っている。

薄くぺらぺらしたただの紙切れのようだったが
見慣れない番号を端から眺めているうちに
くしゃりと紙の端が皺を作った。





(電話番号…?)




どうやら、離婚の理由は愛想を尽かされた…
というわけではなさそうだ。

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てな(プロフ) - まゆさん» わーありがとうございます!気づくの遅くなってすみません…!感動していただき嬉しみです(´∇`) (2019年3月10日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^最後は、すごく感動しました!これからも、頑張って下さい^_^ (2019年3月7日 14時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - かずささん» ありがとうございます!結構端折ってた部分もあったので過去エピソードとか結婚後のお話を時間があったら書いてみたい!!と思ってます(゜▽゜) (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - れいさん» ぴえありがとうございます〜!50話を超えてしまったので気が向いたら続編を作ってみたいなとか思っております… (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
かずさ(プロフ) - 私も結婚後の生活の話が読みたいです!できるならお願します! (2019年2月1日 22時) (レス) id: 189adfe0dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2019年1月20日 0時

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