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「お前には、暁に入ってもらう」
知らない単語に首を傾げてみせる
どうやら意図が伝わったらしく
彼は小さくため息を吐いて説明を始めた
どうやら、抜け忍の集まりらしい
殺意を向けられたことから薄々
犯罪者なのは感づいてはいたが
まさか抜け忍だとは…
「………何故驚かない」
「……さあ」
自分でも驚くほどの無反応さだった
一瞬頭をよぎっていくのは
つまらなそうに自分を見る男の子
「…ちなみに俺のこの装束も暁のものだ
上には俺が話しておく
お前は新人として
俺とコンビを組め」
トントン拍子に運ばれていく話
この男にもさらに上がいるのか…とひとりまた
分析してしまう
「あ、あの」
「あ?」
また、茶色い透き通った目が私を射抜く
「…あなたのこと…なんてよべばいいの」
「は?」
私を射抜くその瞳をじっと見つめる
男の人の名前を呼んだことがないわたしは
純粋に疑問に思っていた
意地悪くニヤリと笑う彼には
その表情が嫌という程似合っていた
「そうだな…サソリ様とでも呼んでもらうか?」
「………そう」
ほんとつまんねェなお前、と彼の呟きが聞こえたが
その言葉はもうすでに耳にタコができるほど聞いた
わたしには効かない
「私を育ててくれるって言っていたけれど
本当にいいの…」
もう一度、確認をとっておく
途中でポイ捨てされても困る
「しつけェな
せいぜい感謝してろよ」
そう言って彼の目線は傀儡へと戻る
乱暴なその言葉を聞いて妙に安心をしてしまった
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作成日時:2018年3月18日 20時