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186話 ページ26

「ここ…警戒区域出てないですよね?」


夜に連れ出され、三輪のお姉さんに付いて行っていた。警戒区域内、となると無関係者だと怪しまれるので結局、望月日向のままだった。


「そうだよ」


当然だが、第一次大規模侵攻の時の爪痕が残っている。目の前には瓦礫の山。雨で流れているからぱっと見で見える範囲には残っていないけど、雨が当たらないような場所には残っていた。


「この辺かな」


そう言って下を向いて立っていた。もしかして…


「私、この辺りで死んだ」


やはり、ここか。でも、何故私をここに連れて来たのだろうか。


「…何となく、知ってほしかった。というより、私がただ教えたかっただけ」


私が考えていることに気付いたのか、そう答えた。…同じ死者同士、という感覚なのだろうか。


「…!マスター」


「何をしている」


シスの声を遮るような形での、声。一瞬で近付いたのだろう。シスも間に合わなかったようだ。…こんな時に限って、防衛任務か。


「誰だお前は。ここは立ち入り禁止な上に、こんな時間に用はないはずだ」


殺気と怒りを含んだ声。無関係な私がこの場所に勝手に踏み入れたことへの感情か。頭に銃が突きつけられていることが分かる。


「すみません。私です。暗くて迷ったみたいで…」


「…望月、か?」


「はい」


正面を向き、姿を見せる。声はいつも通りに戻った。攻撃の意思がないことを伝えるために両手も上げる。それでも警戒されているのか、銃はまだ頭に突きつけられている。…その上、そう簡単にはいかなかった。


「マスター、ゲートが――」


「ゲート発生」


タイミングが悪いっ!どうしてこんな時に来る!しかも、本編では見たことのない新型!また異変か!


「いや、まさか…お前か!」


「…クソッ。弾幕(バレッジ)


「…!」


自分が攻撃されると思ったのだろう。私がトリガーを使ったことに反応し、私の頭に銃の弾を放った。


「…あーあ」


シールドは間に合うわけがなかった。そもそも、至近距離で頭に撃ち込まれては、シールドすら展開できない。でも、私の弾幕(バレッジ)は新型を消した。目的は果たした。


「お、お前は…!」


「こんな形でバレるか…」


「どうして…!」



…雨が、降り始めた。

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設定タグ:ワールドトリガー , ワートリ , 三輪秀次   
作品ジャンル:恋愛
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柚宇 - 間違えました「気長」でしたね (2023年3月10日 16時) (レス) @page31 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
柚宇 - とっても面白いです!更新、気楽に待ってます!頑張ってください!! (2023年2月10日 7時) (レス) @page31 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 一気読みしました!!すごい面白いです!!続き楽しみにしてます頑張ってください!! (2023年1月29日 15時) (レス) @page31 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 何も言わずに旋空弧月さん» 大変お待たせ致しました!更新しました! (2021年8月18日 23時) (レス) id: d0e5b1f7e4 (このIDを非表示/違反報告)
何も言わずに旋空弧月 - 三輪くんと主人公の関係が今後どのようになっていくのか楽しみです。めっちゃ面白い。首を長くして更新待ってます…!! (2021年6月6日 3時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/  
作成日時:2020年8月23日 0時

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