【ワートリ】黒の救世主 5【三輪秀次】

161話 ページ1

「シス、私を付けてきてるやつ分かる？」


「周辺を確認していますが…上手い相手のようです。それらしき人物は…マスターもよく気付きますね」


「視線にはなんか敏感でさ。昔からだし、副作用(サイドエフェクト)とか言うほどじゃないけど。剣道とか色々やってきたせいかな」


シスでも見つけられないということはA級かそれくらいの実力を持つ人物だ。…カメレオンを使っているとか？でも、それならレーダーと視界の矛盾で分かるよな。本当に隠れるのが上手いやつか…


「マスター、今日も麻雀ですか？」


「うん。なーんか、漢気麻雀にハマっちゃったらしくて…今日は諏訪さんいないけど、諏訪隊の隊室だってさ」


隊長がいないのにいても良いのかよ…というツッコミはあるが、気にしないでおこう。本人が良いと言ったから、良いのだろう。


「毎日麻雀をして、飽きませんね」


「本当、それな。そう言う私も大概だけど。最近暇らしいし、それまでは大規模侵攻とかで忙しくて麻雀できてなかったらしいし。その反動じゃない？」


諏訪さんは別としても、残りの3人は間違いなくそうだろう。太刀川さんと冬島さんはA級、しかも遠征にも行っていた。東さんは元A級1位の隊を率いていたし、下手をすればA級よりも忙しかったかもしれない。


「…ねえ、シス。私は今、望月日向だよね？」


「はい」


「付けられてる…？」


まさか…日高Aと望月日向が同一人物だと勘付いたか、気付いたやつでもいるのか…？でも、それを知って何に利用する気だ…？私をボーダーから追い出すとか？…恨みを買った覚えはないんだけど。


「お待たせしました」


「よし、揃ったな」


隊室に入ると視線は消える。気のせいじゃない。望月日向でも付けられている。…また別人になった方がいいのか？


「東さん、欲しいのこれですか？」


「正解だ。ロン。字一色(ツーイーソー)」


字一色は文字通り、字が書かれた牌のみで構成された役だ。ただ字牌だけあれば良いというわけではなく、同じ字牌が3枚のものを4組、残りの2つも同じ字牌で作る必要がある。これも役満だ。


「よし、次いきましょう！」



このまま平和に進めば良かったのだが…

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