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14.アオギリ ページ16

私はポイッ、と路地裏に投げ出された


『痛った!!』


その拍子に腰を打った


何かね、空中で一回転したのよ、はい

それで打った


痛みに悶える私を尻目に、青年は蔑むように言った



「早く上がれよ、馬鹿か?」



痛いのは仕方ない。だから悶えるのも仕方ない


なのに、馬鹿って言われる意味がわからない



相当煽ってくる彼にむかつく私


飛び上がった彼の頭をジャンプ台にしたのは悪くない筈





『で、話とは』



「ああ、そうだったな」



頭をジャンプ台にしたりされたりと醜い争いを続けながら手頃なビルの屋上に着く



相手も私もギャーギャー叫びながら跳んだりしていたから、普段より体力の消耗が激しいみたい


息切れしてる



私と同じように息を切らす彼の声には、覇気が無い

何だかだるそうだ



「一つ、頼みたい事がある」


そう言って、私より背の高い彼は私を見下ろしながら言葉を続けた


「アオギリに、入ってくれ」


『嫌』


「即答かよ、くそっ!」



神妙な面差しでそう告げた彼だが、私が否定したせいで口調を荒らげる


『急に何?』


私は頭に疑問符を浮かべながら無愛想に聞く


彼は、私の顔を見て座り込むと、ポツリポツリと語り出した



「バンジョーから聞いた」


「後、ヒナミが、その」



語尾が小さくなっていったが、確かにこういった


「お前に、会いたがってたから」


可愛いところあるじゃん、と思いながら名前を聞こうとした


だが、それは彼に遮られた



「お前、名前何?」


奇遇だね、同じ事考えてたよ、とは言えず


『え、Aですが』


と言った


でもこいつ、名前だけ借りて何かやりそう

名簿に書きそう。正直名簿あるのか知らないけど



『じゃあそっちは?』

「アヤト」



今にも帰りそうなアヤト君を見て、私は急いで伝言を頼む


『あ、アヤト君!ヒナミちゃんに伝えて欲しいことがあるんだけど』


「は?早くしろよ」



そう言いながらもまだ降りないアヤト君

ヒナミちゃんが関係すると、ちょっと雰囲気が柔らかくなっている気がする


『えっと、次会った時は、一緒に遊ぼうね!って伝えてくれる?』


「ああ、わかった」



何だか上の空で返事をして、じゃ、と言って飛び降りるアヤト君



静かに、着地する音が聞こえた



『ヒナミちゃん、元気にやってるかな…』



久しぶりに聞く、「ヒナミ」という単語に恋しくなる私


いつか会えたらイイな、と考えながら、トーカのカフェへと歩いた

15.偶然?→←13.厄日的な



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黒狐(プロフ) - ファイトです! (2018年10月11日 20時) (レス) id: ceb7e35640 (このIDを非表示/違反報告)
ペンシル(プロフ) - セイナさん» すみません、ありがとうございます!スランプ気味だったので、、更新頑張ります! (2018年7月6日 18時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
セイナ(プロフ) - 続き更新しないんですか?この作品好きなので頑張ってください! (2018年7月5日 1時) (レス) id: 7982c0411c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ペンシル x他1人 | 作者ホームページ:http://uranaimonsuto  
作成日時:2016年6月1日 22時

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