☆15話 ページ15
「はぁ…はぁ…」
レッスンも終わり、本来なら寮に帰るところだが すぐに帰る気になれず 自主練を続けた
こんなのしたって 現実から目を背けることは出来ない。頭ではわかりきってる
「ジュンくん!いつまでレッスンし続けるつもりなの?そろそろ帰らないと遅くなっちゃうね!」
「…おひいさんは先帰ってていいですよぉ?てか、おひいさんが残ってる義理ないでしょ」
「うんっ、それもそうだね!ボクが残ってる理由なんてこれっぽっちもないね!!」
さっきまで俺のダンスの甘いところとかを指摘し続けていたが、1時間以上もやっていると飽きてきたのか床に座っていたおひいさんは立ち上がって、当たり前のようにカバンは持たなかった
「じゃあ、ボクはこれでお暇させてもらうね!」
バタンッ、と扉か音を立てて 騒がしい先輩はこのレッスンルームから出ていった。呆気なくいなくなったおひいさんに 思わずため息をつく
「あの人マジでなんなんだ…未だによくわからねぇ」
頭をガシガシとかいて、床に落ちているタオルで汗を拭く。そして、ぬるくなっているペットボトルの水を喉に流し込んだ
「……」
『バーーカッ!!』
「…ッハハ」
脳裏に浮かぶAの泣き顔。辛辣な事を言われたりする事は割と多かったのに、あの小学生レベルの悪口がずっと頭にこだまする
自嘲し 力なく床に座り込む
自分の中の醜い何かが、俺を嘲笑っていた
"諦めろよ"
"Aを幸せにできないだろ"
"その役目は、
ただ幸せになって欲しかった
もしも結ばれたら、なんて夢物語が頭を掠めたけど
今は、俺のいない世界で 幸せになって欲しい
俺はアイドルとして生きていく。その世界で生きていくと決めたからには、きっとこの感情は不要だ
……なんてのは、綺麗事
Aが夢ノ咲の奴らと楽しそうに笑っている姿を見る度に、胸が締め付けられて吐きそうになる
彼女でもないアンタが他の男と仲良くしているのを見て、嫉妬してイライラして
そんな俺を、彼女は受け止めてくれるのだろうか
考えてしまったら、もうダメだった
だから自ら身を引いた
もう会わないと決めた
彼女にとって、俺はいてもいなくても一緒。そんぐらいなもんだと思ってた
けれど、彼女は泣いていた。
「泣かすつもりなんて、なかったんすけどねぇ…」
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作者名:モモ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kid0019/
作成日時:2020年2月24日 11時