ハート乱用する系上司に日々苛ついています【文スト】

ハートが2個 ページ3

『っ……はぁ…っ』

太宰幹部が去った執務室で大きな溜息を吐く。
私はあの人が嫌いではないけど、上司としては絶対に好きにはなれない、おそらく、これから先もずっと。だって…誰が書類押し付けて飲みに行く上司を好きになるのよ。どんな聖人？私には無理だ、絶対に無理。

「森見さん…お疲れ様です…」

黒服の田中くんと佐藤くんが労わってくれる。嬉しくて泣きそう…。泣かないけど。部下の前で泣くとか…できないよ。結構鬼畜な命令とか伝える時に心が痛むからね。いや、そんな命令出す首領や幹部が悪いんだけれど。１回彼奴らは中間管理職の苦労を味わうといいと心から思う。そして禿げろ、禿げてしまえあのAとかいう気障な野郎。なに挑発してきてんだ暗殺してやろうか。

『…分かります？…寝不足気味なんですよ』

お陰様で睡眠薬とはお友達になれたよ。こんなお友達絶対に要らないけど。絶対に！

「道理で目の下の隈が濃い訳です」


3人で取り掛かっても一向に減る気配の無い書類に吐気がした。どれだけ放置したらこんな量になるのだか…。私が休暇明けの次の日は何時もこうだ。彼の人は…本当に…はあ。あれか、私に休むことは許されないのか？…はぁ。
あかん、ため息止まんない…。

「まぁ、太宰幹部(彼の人)だから仕方ありませんよ。…でもこれは多いですね。応援を要請してきましょうか？」

佐藤君が割り切った口調で告げるが、そうもいかない。他の人にまでこれの餌食にしてはいけないのだ。餌食は餌食だ。あかんぞこれは。ほんまあかん。

『他の方にまで被害を拡大するのは心が痛むので、出来る限り頑張りましょう』

最早太宰幹部は天災か事故みたいな扱いである。いや、あながち間違ってないのだけれども。被害だからね、被害。悪戯はするわ頭は回るわ女の人くっつけるわ。まじ巫山戯んなし彼奴。

ねぇねぇ、聞いてよ…書類の消費スピードが段々60秒に2枚とかになってきたんだけど。助けて。人間離れした処理速度とか求めてないからね…。精度落ちないの怖いよ。もう。

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あずきいろ

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