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しゃくりと態とらしく音を立てて林檎を齧る。思ったより甘くなくて顔を顰めてしまったけれど、まあ、うん。この行為が好きだからいいの。ね、だって良いでしょう。私、この音が好きなの。食べてるって感じがするでしょう?えぇ、食べるってのは生きるってことですから。
何処でもいつでも安価で手に入り、尚且つ栄養源としても優れているんだから良いよねェ。見つけ出した先人、或いは蛇に唆された我らが父と母に敬意を。そして心からの軽蔑を。彼等が余計な事をしなければ人類はぬくぬくとした安寧の守る楽園に居られたというのに。馬鹿らしい。
「……赤いのと青いの、どっちがお好きかな?」
丸々ひとつ、それこそ芯まで食べてしまってから震える女に問いかけてみる。嗚呼、そんなに怯えられるのは心外なんだけどな。それに何が恐ろしいのかな。私はこんなにも平凡な女だというのに。どこをどう見たって虫の一つも殺せない淑女でしょうに。あでも若しかしたらそう見えないのかもしれないね、だって、ねぇ。人外の煌めきをその両の眼に映したことがあるんでしょうけど。それならきっと別よ。
「ぁ、」
そう、平凡な平凡な女なの。そんな特別な事情がない限りはね。ねえ、そうでしょう。
微笑みを一つ、とびっきり素敵だと自負しているものを浮かべる。ええ、そうだったらこわくないはずだもの。
「……ね、アン」
「貴女は赤いのと青いの、どっちが好き?」
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椿(プロフ) - 孤歌さん» 長期間お待たせして申し訳ありませんでした!そして、ずっと待ってて下さって有り難うございます(泣)嬉しすぎて泣きそう…あ、もう泣いてる(笑)更新頑張ります。これからもこの作品を宜しくお願いします! (2019年3月12日 19時) (レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - はじめまして!去年からずっと待ってました!復活してよかったです゜゜(´O`)°゜これからも更新がんばって下さい! (2019年3月12日 19時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3d9bdea2451/
作成日時:2019年3月7日 0時