第９話！ ページ11
冷凍トラックの中は、結構広かったけど、もちろん何も無く、空箱のような状態だった。
私は壁で身体を支えて、立ち上がろうとした。
だけど、身体は既に限界を迎えていて、立ち上がる事すら体力温存の為には辞めておこうと思った。
そんな時、指で触れた場所が少しだけ溶けた事に気が付いた。
...お絵描きでもしてたら、暇を潰せて、眠くはならないんじゃないか。
そう思い、特別上手でもない絵を描き始めた。
移動するには体力がないので、軍隊の人がやるようなほふく前進で前に進んだ。
制服が冷たくなるなんて、もうどうだっていい。
私の頭の中には
"死にたくない”という1文しかなかった。
それ一心で、トラックの壁に絵を一面描いた。
色々なものを描いた。
だけど、それの繰り返しじゃ、多分眠くなってしまう。
...私が今望んでいるものを描こう。
今にも凍りそうな指先で、私の頭に浮かんでいる物をたくさん描いた。
描いてるのは、パンケーキなどの甘い物、昨日猛くんに取ってもらったキツネのぬいぐるみ。
...あと、猛くんを描いた。
日常的にある物、大切な物、家族、友達...。
あって当たり前の物だと前は思っていたけど
死ぬ間際になって本当に分かるんだ。
大切な物は、なくなってから気付くって。
私の場合、なくなってから、ではないけど...もうそろそろなくなる頃だろう。
自分から手放すのではなく、大切なものを強引に引き剥がしていった。
そんな大切な物を、死ぬ間際まで持っていたくない。
覚悟が緩いでしまうから。
だけど...
『...死にたくない。』
寒い、としか考えられなかったのに、どうしてもそんな無意味な感情が入ってきてしまう。
抗ったって、どうせ死んでしまうんだけど。
なにか言おうと思ったけど、溢れて出てくるのは「死にたくない。」という言葉だけだった。
目からも涙が溢れてくるが、全然暖かくない
多分出てきてから凍ってしまっているのだろう、非常に冷たかった。
最後にもう一度、家族や友達...。
猛くんに会いたい。
トラック一面に絵を描き終わると、なんだか力がふっと抜けてしまった。
眠気、と言うより、体力が限界を迎えたと考えるのが妥当だろう。
このまま、死ぬのを待とう。
楽しかった思い出なんか、忘れて、待とう。
...もう少しだけ生きていたかった。
千葉に来て、あんなに素敵な人達と出会ったんだから。
『...嫌だな。』
そうやって呟くと、自然と瞼が閉じてしまった。
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花火2016(プロフ) - dmeenioさん» ありがとうございます！これからは夢主ちゃんもガンガン攻めていきますので、お楽しみに^^* (2018年11月24日 18時) (
レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - ゆうさん» はじめまして^^続編希望ありがとうございます！無理しないように頑張りますので、よろしくお願いします！ (2018年11月24日 18時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - てんてんママさん» ありがとうございます！相良くんのお相手変更はなくしていきたいんですけどねぇ...、どうなるかお楽しみに^^* (2018年11月24日 17時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - yuiさん» ありがとうございます！そう言っていただけるとやる気が出ます！続編でもよろしくお願いします！ (2018年11月24日 17時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
dmeenio(プロフ) - 続編めちゃくちゃ楽しみです!!!!受け身だけで終わらないスケバンちゃん楽しみです!!!!相良くんとお幸せに(^^) (2018年11月24日 15時) (レス) id: a60411acd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花火2016
| 作成日時：2018年11月16日 22時
