【ツイステ】おいだせ、おんぼろ寮(仮)

164.海底リメンバー ページ14

ガラスに映る自分の姿に当然自信などない

擦れたローファー、いつもと同じ制服

生徒が利用する場所と言ってもこうも一人だと変に緊張してしまう
制服にこんなパーティーヘアも大袈裟ではないかな
なんだか変に体に力が入るような、落ち着かない気持ちを持て余している



(…なんか、お腹も空いてないんだよなぁ)


何かを食べたわけでもないのだけど、緊張からか疲れからなのか
と言うか彼は私が今日学校を休んだことをご存知なのだろうか


...昨日の帰りなんか変だったし、元気になったかなあの人




『…〜♪』


辺りに人の姿はなく、暇潰しの小さな鼻歌もよく通るほど物静かだ
深海はこんな感じなんだろうかとふと思った


(…思えば、海に住んでる人たちと話せるってすごいことだよなぁ


海底から見る水面なんて考えたこともなかったけど)




異文化交流という言葉がしっくりくるだろうか
聞くより答えた回数が多いのでもっと色々聞いておけば良かったかもしれない

こういう終わりを迎えると思わなかった
もっとこう淡々として、ありがとうございましたで終わるような
こんな最後は予定外、一日目の自分には多分考えもしない



彼なりの区切りなのだろうか
意外な提案ではあったけどオクタヴィネルとしては対価の支払いは関係の徹底なんだと思う



...なら、私とジェイドさんの関係は





(今日が終わったら、明日は何になるんだろう)





…最後、かぁ






『〜♪、.......』







ｷｨ






『…？』




徐に入口のドアが開いて、ガラスの先ではハットを被った男性の姿がぼやけて映った
開いた隙間から手袋を纏った手がこちらを招くように差し伸べられる







ーさぁ、お手をどうぞー





(.....)




男性の声に何故か抵抗を覚えることはなかった
従うように手を伸ばし、彼の手を取る





『…




おわっ』







ーﾊﾞﾀﾝｯ

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