『あの、幽霊憑いてますよ？』【歌/い/手】

よーん ページ5

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「来てくれてありがとう」
「い、いつも応援してます！ これからも、頑張ってください！！」

目の前の女の子がそらるさんと手を繋いで話している。
女の子の言葉にうん、と笑顔を見せて手を離した。

…んっ！？女の子白目になってる！？いや、そらるさん効果ありすぎでしょうが。こわっ！そらるさん怖っ！？


「次の方ー」
『あっ、ふぁっ！はい！！』


予想通り、最後は私だったらしく、これで握手会は終わる。
最後ってのは、なんか……無駄にドキドキしちゃうんだよね。

緊張と興奮を胸に、そらるさんがいる場所へと向かう。


「今日は来てくれてありがとう。
最後まで長かったよね、待っててくれてありがとう」
『…いえ、楽しかったので、苦にならなかったですよ』
「それならよかった」


そらるさんの笑い方は上品でふふっと微笑んでいる。その笑みに見惚れてしまい、慌てて視線を外す。


『え、と…私、AtRのライブ、初めてだったんですけど。……ほんとうに、凄かったです』
「本当？ 楽しんでくれてたなら良かったぁ……」


ライブの感想言おうとしたけど、気持ち悪いってことしか覚えてなかったので無理でした。
流石に気持ち悪かったでぇす(裏声)なんて言ったら「ｴｯｱｯｳﾝ」ってなるよ、反応に困るよ。私も困る。

それから、一言、二言だけ言い握手をしてまふまふさんのところへ向かう。


「今日は来てくれてありがとうね！」
『………』
「…どうかした？気分、でも悪い？」


まふまふさんを見た瞬間、それはそれは酷い顔になった。正確にはまふまふさんの後ろを見たら、だけど。

忘れてた、アイツの存在を。

にたにたと気持ち悪い笑みを絶やさずこちらを見ている霊。それを見て思わず苦笑いになってしまう。



「あ、あの……本当に大丈夫？」
『…えっ、あっ、えーと、緊張、しちゃって……』


心配そうにこちらを覗き見るまふまふさんに、申し訳ない気持ちになる
……大丈夫、握手して、話すだけ。
私から攻撃しなかったら、アイツも、攻撃しないはず。






(幽霊に邪魔されるなんて、生まれた頃から数え切れないほどあったでしょ)
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