殺し屋姉弟に愛情を (ページ15)

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14話　☆ ページ15

「エミさん、つまりリアナ王国の出身やったんか？」

「国に捨てられた人間にそう言える権利はあるかどうかわからないけど。」

司書室の椅子に座るようゾムに言ったエーミールは自身の眼鏡を人差し指で指しながら語った。

「ゾムさんの言う通り、リアナ王国の出身です。

昔、そうですね、齢が８にも満たないときでしょうか。

両親に売られ王宮で下働きをさせられていた当時、色素が薄かったせいで化け物扱いされていた。

あるとき、私は国王に呼び出されて、何事かと思って訪ねるとお前はもう必要ない。そういわれて

国の実験室へ運ばれました。あの国には独特の伝承がありまして。

色素の薄い人間を【薄眼】として差別していました。

薄眼は人造人間になるサンプルとして一部が改造されていました。

あの国の闇を知り、自ら改造されることを恐れた私は夜な夜な逃げ出しました。

国の追手に捕まった時、強く左眼を打ち付けられ急激な視力の低下。

だから私はこの眼鏡をつけているんです。」

ゾムは旧知の仲のエーミールにそんな過去があったとは知らず、驚きを隠せなかった。

エーミールは扉の方を向き、話しかけた。

「別に隠れなくてもいいんですよ、トントンさん。」

気配を感づかれたことに驚きつつも、扉を開いて司書室に入ってくる。

「わかってたんか・・・その、ごめんな。盗み聞きして。」

トントンが頭を下げようとする様子をすかさずエーミールは止め続けた。

「私がみんなに言ってなかったのが悪いんですから。」

ゾムとトントンにエーミールは

「それと、あの二人にはこのことを言わないでください。
これを見て一番傷つくのはあの子たちなんですから。」

静かに、釘をさすように二人に告げた。

「ああ、そうだ。これをゾムにって。」

トントンは茶封筒をゾムに渡す。
その横でエーミールはどこかに出かける支度をし始めた。

「エミさん？どっか行くん？」

エーミールは答えた。

「ちょっと急に故郷に帰らなければいけない案件を思い出したので。」

彼の指す故郷は間違いなくリアマ王国であろう。

一体彼はなんのために・・・。

トントンとゾムの疑問が解消されるのはあと少し。

今はそれより、目の前のことを成し遂げなければならない。

そう思い、二人は自室へ戻った。

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これからはいつもの更新ペースに戻せるように頑張ります。麻倉