＊ ページ40
次第に身体が離れ、静かに視線を交わす。
蓮「ごめん…」
「…ううん」
この時の私たちは、次いで出る相手の言葉を緊張しながら待っていたように思う。
蓮「…さっきの名刺、貸して？」
蓮が先に沈黙を破った。
言われたように名刺を差し出すと、私からペンを借りて何かを裏面に書き始めた。
蓮「…これ、俺の電話番号」
「えっ…」
蓮「Aがどうしても辛くて、泣きたくなっちゃう時は俺に頼って」
「…」
蓮「だけど今はそれは必要ないと思うし、必要とすることがないのが1番だからね。…幸せになって欲しい、大切な彼と」
蓮は私の幸せを願い、温かな笑顔を見せた。
「うん、ありがとう。蓮と離れてから時間はかかったけど…ようやく大切にしたい人が見つかったんだ」
蓮「うん…」
「だから蓮も……そんな人が早く見つかると良いね」
蓮「…」
蓮は強く見えて、とても繊細な人。
人の弱さや痛みにすぐに気付いて寄り添ってあげられる人。
そんな彼を支えてくれる素敵な人に早く出逢えますように…
蓮「A、泣き虫だから心配だな」
「そんな事…ないよ」
蓮「あるよ。…俺もたくさん泣かせたね…」
蓮が一歩私に近付き涙の跡をなぞるように優しく私の頬に触れた。
「…っ」
蓮は私を嫌いになって離れた訳ではなかった。
その安心感の反面、好き同士のまま別れたわだかまりが確実に今日、私には残ってしまった。
もしかしたら今頃私たちまだ付き合っていたんじゃないの…？
そんな考えがよぎり、その度に翔太への罪悪感が増す。
蓮「…」
結局私たちは何本も電車を見送り、改札の前でなかなか別れられずにいた。
だけど、
蓮「今日Aに会えて本当に良かった。…俺、マジでAの事応援してるから」
「…ありがとう」
蓮「…俺もめっちゃ仕事頑張って、Aに負けないくらい幸せになるからさ」
そう言って爽やかな笑顔を見せる。
あ…
蓮の中ではちゃんと時間は進んでる。
さっきのような考えをしていた自分は無かったことにしなくちゃ…そう思った。
きっとこの先、蓮と会うことは二度とない。
どうか、幸せになってね…
「…元気でね」
絞り出して最後の挨拶をそう告げたのに、
蓮「…またね」
まるで次があるみたいな挨拶で、蓮は私を惑わせた。
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R(プロフ) - ninaさん コメントありがとうございます！こちらの作品のコメントは久しぶりだったので嬉しかったです🥺✨一気読みなんて嬉しい限りです…😭今連載中のお話もどうか楽しんで頂けますように…🥺 (2022年2月3日 21時) (
レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
nina(プロフ) - 最初から一気に読みました😭最高です！！🖤💛💙に愛される人生を歩みたいです（笑）次のお話も楽しく読ませていただきたいと思います！ありがとうございました✨✨✨ (2022年2月3日 15時) (レス) @page50 id: 3feab5f3eb (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - みかさん ありがとうございます😭✨今回も無事完走できました🥺💓 (2021年12月11日 12時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - みみみさん コメントありがとうございます😭✨わぁ〜嬉しいです😭💕また大大大好きと言ってもらえる作品を書けるように頑張ります☺️ (2021年12月11日 12時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - みさん コメントありがとうございます😭✨そんな事言って頂けて声を出して喜んでしまいました…😭続編構想中なので出来たらまた読みに来て下さると嬉しいです🥺💓 (2021年12月11日 12時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：R
| 作成日時：2021年11月21日 15時
