14.欲望のレッド ページ39
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「 ねぇ、ひろ。このリップ付けてみてくれる? 」
その一言で流れ出した少し…妖艶な時間。
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数分前、太輔に渡されたのは、薬用のリップ。
薬用とは言っても、少し色がつくタイプのもので
30を超えた男がつけるようなものとは思えない。
…まあ仕事柄、色のつくリップを使ったことは
何度かあるんだけど。
理由を聞いても教えてくれないし、
今別に唇が乾燥してるわけでもないから
最初は断っていたけど、お願い、だなんて
普段聞き分けの良い恋人が言うもんだから
結局は断りきれなくなって、リップを受け取った。
なんで…このリップ?
俺もしかして今、血色悪い…?
自分が気付いてないだけで、実は唇カサカサとか…
そんなことを考えているうちに
リップを持つ俺の手は、太輔の手に握られていた。
「 ちょっと色がつくくらいでいいから…塗って? 」
「 あ…うん 」
俺を見つめる純粋な瞳に、もう、
逃げようと思うことすら出来なくなって
唇にリップを這わせた。
太輔に色がついてるか確認しながら。
「 ん、いいよ 」
「 うん?……なぁ、なにすん…っ、 」
なにすんの?
そう言い終わる前に、リップをつけたばかりの
ぷるっぷるの俺の唇は塞がれた。
同じくらいぷるぷるな太輔の唇に、
ゆっくりと、優しく。
…それから何分経ったのか、何回キスしたのか、
それすら分からないけど、
とにかくめちゃくちゃキスをした。
最初はされるだけだったけど、
なんか…俺からもしたくなって
お互いにし合った。
そうしたらいきなり、
太輔が俺から目を逸らしたんだ。
口に手を当てて。
「 たいすけ…? 」
なに…いきなりどうしたんだよ…
いきなり気持ち悪くなった…?
もうネガティブなことしか考えられなくなって
太輔にストレートに疑問をぶつけた。
「 気持ち悪くなった…のか? 」
「 へ…? 」
「 だっていきなり… 」
「 …っ、違う 」
俺が質問したら、太輔は焦ったように
俺の手を握った
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茉莉花(プロフ) - しおぱまさん» ありがとうございます!読者様に楽しんでいただけるような作品を目指していくのでこれからもよろしくお願いします^^ (2017年2月15日 0時) (レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
しおぱま(プロフ) - 今回は短編集ということで、茉莉花さんの書く様々な藤北が見られそうで嬉しいです、!更新大変だと思いますが頑張ってください! (2017年2月13日 16時) (レス) id: 21c0d8b98c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉莉花 | 作成日時:2017年2月13日 0時