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外の寒さを引きずって震えながらドアを開けると、暖房のついている家の中は冬なんて知らないかのように暖かくて、さっきまで痛いほどに冷えていた耳がじんわりと温められていく。
「おかえり」
「外、寒かったでしょ」そう言ってやわらかく口角を上げる恋人の姿に、その恋人を見て心まで温まっていく感覚に、幸せを感じる。
…裏側できゅっと胸が締め付けられる感覚を無視すれば。
「北山たち、今日は早かったの？」
「うん、雑誌の撮影だけだったから」
そう言っていきなり立ち上がるから何をするんだろうとじっと見ていると、おいだきのスイッチを押して「風呂入っといで」なんて言われるから、むず痒くて。
しっかりと伝えたかった「ありがとう」という言葉は、喉でつまずいて蚊の鳴くような声でしか伝えられなかった。
「そうだ、出たら洗濯機回しちゃってくれる？」
「ん、了解」
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子供の頃は知らなかった。
帰って部屋が暖かいことがどれだけ幸せか。
寒い夜、先に寝ていた愛しい人のおかげでベッドの中が冷たくないことの幸せも。
寝起きのむくんだ顔さえも、可愛く思えてしまうことも。
好きで、大好きで、愛しくて。…愛してるが故に、苦しくなってしまうなんて。
…ホント、子供の頃は知らなかったよ。
仕事終わりに、シャワーを浴びながらこんな事を考える日が来るなんて。どうも最近はあることないことぐるぐるぐるぐる考えて、どんどんネガティブになっていく傾向にある。…別に病みはしないけど。
「……どれもこれもアイツのせい」
無意識なのかなんなのか、「洗濯機回しちゃってくれる？」とあざとく首を傾げて言ってきた、年の割に幼い顔つきしてるくせに中身はびっくりするほどオトコで、オトナなアイツ。きたやま。
北山は俺の心を鷲掴みにして揺さぶってくる。…恋をしているんだって、強く思う。
風呂上がりにパンツ一丁でリビングをうろついて、下手すればそのまま寝るような男に。
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茉莉花(プロフ) - 充瑠さん» コメント、また、いつもお読み頂きありがとうございます。短編集ですね！かしこまりました、お気持ちを伝えてくださりありがとうございます…！ (2018年3月12日 20時) (
レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉花(プロフ) - mさん» こんにちは、コメントありがとうございます。わっ…本当に思いつきで何気なく書いた作品が作者様の感性により、良いものに仕上げられているような、そんな感じがしています…素敵なコメント本当にありがとうございます。 (2018年3月9日 22時) (レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉花(プロフ) - ゆうりんさん» はじめまして、私には勿体無いくらいのお言葉の数々…ありがとうございます。いつも書いている途中で悩んでしまう事があるのですが、こうしたお言葉を頂けると本当に嬉しいです…！また、シリーズ化も前向きに検討しておりますので待っていてください＾＾ (2018年3月5日 18時) (レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいていますが、コメントは初めてです。茉莉花さんのお話、繊細で大好きです！どちらかというと短編がちょこちょこいろいろなお話を読めて好きなので、こちらのシリーズ化も楽しみにしています！！ (2018年3月5日 1時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - タイムリー式にする事でフィクションがこんなにもノンフィクションに感じたられて、より身近に2人の生活感や雰囲気を味わうことが出来る事に感動しました！！このシリーズの短編もかなり気になります！！茉莉花さんの世界へまた是非連れてって下さい！！ (2018年3月4日 16時) (レス) id: 2ca24312b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉莉花
| 作成日時：2018年2月14日 17時
