5 ページ6
あのあと、嵐のようなあの人に話しかけられることもなく、特に変わったことはなかった。
午前中の授業が全て終わり、今から昼休憩、と言ったところだった。
早く行こ、と話しかけるために席を立つ。
何歩か歩いたところで、鼓膜が破れかける。
そう、いつもの悲鳴だ。
煩い煩い女子共の悲鳴だよ。ばっきゃろー。
今すぐに中指立てたいけど今は我慢や私…！！
グッと気持ちを堪えて、桃の席へと向かおうとしたその時だった。
「あのー、和音さん居ますか？」
「…は？」
どこか聞き覚えのある声で、誰かが私を呼ぶ。
勢いよく振り返れば、思わず声を漏らしてしまう。
そこには、全く関わったはずのない…。生徒会の一人、女たらしの鬱さんが居た。
ただの暴言？気にせんといてや。
「あ、おったおった。ちょっと来てくれへん？」
ジッと見つめていると、彼と目線が合ってしまった。
早足にこちらへやってきて、笑いながらそう言う。
周りの目がやばいよ今。めっちゃ見られてんねんけど？
ヘイト向けるのやめてもらえますかねぇ。
「…何故、でしょうか？」
まぁ勿論そんなことを口に出せるわけがなく。
理由を聞く以外の選択肢は無い。
それに、自分でもまだ何故連れて行かれるのか分からない。
「んー、なんでやろな？そんなんええから、着いてきてくれへん？」
何か裏がありそうに、私に笑いかけてくる。
理由すら教えてくれへんとか…無理ゲーやん。
「あの、鬱さんでしたっけ。」
「は、桃…？」
話に割り込んできたのは桃だった。
普段なら少しイラッと来るが今は感謝しかない。
ぶっちゃけヒーロー。ありがとうアンパンマン。
「…ん？えっと、桃さんやっけ？どしたん？」
ニコニコ、と互いに微笑みながら、会話を続ける二人。
正直言って恐怖しかない。何でニコニコしとんねん。
「かずねちゃん、怖がってますし嫌がってますよ？それなのに何故貴方はかずねちゃんを連れ行こうとするのでしょうか？」
「…そうなんやね、ごめんな？それじゃあ今日はやめとくな。…じゃ、また今度。」
鬱さんはニコッと笑って、私に囁く。
え、また今度ってことはまた来るんあの人。煩いからやめてほしいんだが？
いや、今考えるのはあの人じゃないかもしれん。
「…かずねん、ちょっと行こっか。」
「桃さん…。」
桃はにっこりと笑みを浮かべながら私にジリジリと近寄ってくる。
まるで蝉のようだ…じゃなくて。
これは、まぁまぁ怒ってらっしゃるぞ？
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←4
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クライン | 作成日時：2021年4月4日 22時
