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「おはよーかずねん！」
一人静かに自分の席に座っていれば、後ろから声が聞こえる。
「おはようございます、桃さん。」
そこにいるのは友達の桃。
小さな頃からの友達で今年は同じクラスになっていた。
今日は何も変わらないいたって普通の日。
入学式でも始業式でもない平日。
そんな日に私はいつも通りの1日を過ごしていた。
「あの、和音ちゃん！」
否、過ごすはずだった。
今私は話したこともない同じクラス…のはずの女子に話しかけられている。
「なんでしょうか。そして名前を名乗っていただいてもよろしいでしょうか？」
「えっ？あ、えと…。百合です！黄乃百合(ｷﾉ ﾕﾘ)です！貴方は連翠和音ちゃん…ですよね？」
黄乃百合。私はその名前に覚えはない。
こんなやついたかもなぁ、くらい。全くもって人に興味がないとかではないよ。
「はい、和音です。それで、何の用でしょうか？」
私がそう聞き返すと、黄乃百合はえっ、と口に出す。
…もしかして、用も無く話しかけてきた？
目の前の彼女は困ったようにわたしから目線を外している。
隠しているつもりかもしれないけど、明らかに慌てている。
「用がないなら話しかけないでくださいますか。それか話す内容を決めてから話しかけてください。」
何も言わない彼女に向かってそう言い放つ。
すると黄乃百合はひっと言い、反対側に走っていった。
その程度で怖がってどうするんだ…。と思いながら席に座る。
ちなみにさっきまで立ってたよ。
「かずねん大丈夫？」
私が椅子に座ると、桃が私に駆け寄ってくる。
全然大丈夫ですよ、と返せばよかったぁと安心していた。
この程度で何かあったら弱っちいね。それでもいいんだけど。
「やっぱりかずねんは凄いよね！」
そう私を語り出そうとする桃を止めて自分の席に座らせた。
…その時に誰かの視線を感じたけど、特に関係ないだろと終わらせた。
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作者名：クライン | 作成日時：2021年4月4日 22時
