性別の壁なんてぶっ壊せ

勘違い其の3 ページ11

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『んぅ…』

「ありゃ。寝ちゃったか」


手を枕としてスヤスヤ眠るA。そんなAの肩に黒い外套を掛けているのは太宰


完全に酔いつぶれたと言った処だが、これも作戦の内だ



──一つ確信したことがある


執拗に中原の話をする太宰。俺の友人、というオプションのせいか否かは分からないが、Aを優しい目で見つめていた太宰。あまつさえ、俺の眼前で外套を羽織らせる太宰



成程、そういう事か。やっとAの思考次元に追いつけた気がする



──男が恋愛対象。其れもある意味個性だが、安吾や俺にまでソウイウ目を向けられたら少し…困る


そういう理由もあって、太宰がAに惹かれれば一件落着だ。誰にも言えない話だが




「──織田作。A、面白いね。今度安吾にも会わせてあげたいよ」

「そうか」



この調子だ。俺も、太宰も、そして何よりAも、全員平等に幸せになれる結末まで、出来る限り導く


そう思い乍、太宰に視線を移すと、太宰のグラスは空になっていた

──潮時だな



最後の一口を喉に流し込んで、「Aは俺が送ってく」と



太宰に任せても良かったが、万が一、本当の性別がバレたら事だ。少し名残惜しいが、眠るAを抱えて、太宰と別れた




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