ヤケ酒は程々に ページ10
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「──それでさ、その時中也が…」
「──あー!思い出しただけでイライラしてきたよ」
「──こんなに愚痴ったの久々だよ。全部あの蛞蝓のせいだ…」
何だろうか、この感じ。気が滅入ると言うか何と言うか…
あぁ、早く付き合っちゃえばいいのに。なんて不似合いな気持ちと共に不貞腐れてしまう
「ってA?聞いてる?」
少し拗ね乍らグラスを弄んでいると、太宰幹部はこちらを見て改まったような口調になる
『…聞いてます。中也さんと仲がよろしくないようで』
「Aもしかして怒ってる?」
『真逆!そんな訳ないじゃないですか』
グラスを落とすほど動揺した。図星である。私が付け入る隙がない、太宰幹部は中也さん一筋なのだ
嫌な汗をダラダラとかき乍らもエスパーである太宰幹部の前でド下手な演技をするのは難しかった
確かにお酒を通しながら、太宰幹部にかなりお近づきになれた。だが、会話の内容殆どを中也さんの話題で占める
──…もう何だって言うんだ
「まぁいいや。この話題は終わりにしようか。Aも織田作も中也の話ばっかり飽きたでしょ」
「……安吾、来ないな」
織田作は否定も肯定もせず、入口の方へ目を向ける
あのまま中也さんの話をし続けていたら、私がもうこの場にいるのが辛かったかもしれない
織田作のやんわりとした優しさに何時も救われている
『マスター!おかわり!』
「おっ、案外いけるんだね」
『へへ、今日は飲むんで。織田作も飲むでしょ?』
「A、一寸酔ってないか?」
『この私が酔う?なわけないでしょ』
「…私?」
『あっ、僕!僕です』
体にじわじわと侵食してくるアルコールの熱が、私の湧き出る嫉妬心と似ていた
それを一気に飲み干し、太宰幹部は感嘆した。クラッとした感じが心地いいくらいだった
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龍白ナイト(プロフ) - あさぎさん» はい!次回作も頑張ってください! (2018年7月27日 23時) (レス) id: f6793e9fc3 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 龍白ナイトさん» わぁぁぁなんてありがたいお言葉(´;ω;`) わざわざ友達にも紹介してくれるなんて…() 次回作でまた会えることを楽しみにしています´ω`* (2018年7月26日 11時) (レス) id: 6de4597e1c (このIDを非表示/違反報告)
龍白ナイト(プロフ) - 初めまして、龍白ナイトと申します。完結お疲れ様です!毎回楽しく拝見させて頂いていました。特に、織田作さんの天然ぶりが面白く、ホッコリしました。あまりにも面白かっので、勝手ながら友達に紹介させて頂きます。新作も見ます!これからも、頑張ってください! (2018年7月25日 23時) (レス) id: f6793e9fc3 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - あさぎさん» 新作見たで〜 即吹いたwww (2018年7月24日 22時) (レス) id: aa81118cef (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - アリスさん» いやアリスちゃんもほんと毎回ありがとうっ (2018年7月24日 21時) (レス) id: 6de4597e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2018年7月12日 20時