【HQ】Bad∞End∞Night

9 松川一静 ページ10

頼もしい及川の背中を見て俺は勝手に安心していた。

生きて帰れる、と。

部屋を出て真っ直ぐ玄関に向かった俺達。


｢よく見ると頑丈な造りしてるんだけど…｣

｢やってみなきゃ分かんねぇべ｣

｢パワー5だから言えんだよ｣


こんな状況でも通常運転なあたりが俺達らしい。

それから一斉に蹴ってみたり体当りしてみたり…ドアには傷一つつかない。


｢俺らの体の方が先に限界来るだろ、これ…｣

｢俺も花に同感…他のところ探す方がいいんじゃねぇの？｣

｢マッキーとまっつんの言う通りかもね。岩ちゃん、どうする？｣

｢どうするって、お前が主将だろ、指示出せよ｣


もう岩ちゃん酷いｯ！とか言ってると普通に過ごしてるような気分だった。

そんなわけないのにな。


｢効率とか踏まえて、二手に分かれよっか。俺は岩ちゃ｣

｢俺と花巻、及川と松川でいいな｣

｢岩ちゃん、それ解答権ない、ただの脅し｣


はぁ…と不満たらたらな及川。

俺だって花とが良かった、及川より。

こういう時って親友と居たくなるもんじゃねぇの？

まぁ、及川と岩泉だもんな。

そんな心配しなくても大丈夫だ、って思える信頼関係があるのだろう。


｢じゃあ俺達こっち行くね｣

｢なら、俺らはあっちだな｣

｢何かあったらすぐ呼ぶように｣

｢おう｣


阿吽達の会話を尻目に俺と花も軽く言葉を交えた。


｢じゃあ、また少ししたらな｣

｢おう、またな｣


そのまた、があると信じて居たのにな。


｢まっつん！危なｯ｣


ガシャンッ!!!ｸﾞﾁｬｯ



及川の声と同時に上から降ってきたシャンデリア。

これはあんまりだろ…。

少しくらいこれまでの人生振り返らせてくれても良くね？

シャンデリアが割れる音に混じって俺の身体の一部から不可解な音が聞こえた。

音と痛みに顔を歪め、薄れゆく視界と意識の中で聞こえたのは及川の叫び声だけだった。


最後に思い浮かんだのは大事な1人の親友、



花、お前の姿だよ。



また、なんて言って約束破って悪い。

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