▼好きと伝えた日▼名前変換オリジナル

20話 ページ20

うるさい蝉の声が聞こえ、暑い夏の季節がやってきている、と実感させられる。
そんな中、体育祭が終わった私達に迫ってくるのは中間テストと夏休みだった。


「体育祭終わった直後にテストって、地獄すぎるでしょ……」


　そう隣で嘆くのは、晴と同じクラスで美術部の麻奈(ﾏﾅ)ちゃん。
仲良くなったのは体育祭の始まる少し前。
それ以来、用事がない時は一緒に帰っている。
　麻奈ちゃんのその言葉を聞いて、苦笑いをする。


「ねー、先生も教育委員会も滅べばいいのに」


「滅べばって」


私の言った言葉を繰り返しながら、笑う麻奈ちゃん。
それに釣られて、私も笑顔を浮かべる。


「そういえば、今日席替えしたの」


　3組は今日が席替えだったのか。
2組は来週なのに。
　別に晴と同じクラスじゃないから、席替えなんてどうでもいいけど。
あ、晴誰と隣になったんだろ。

　今日聞いてみようかな、なんて思っていたら、麻奈ちゃんが口を開いた。


「そしたら武田くんの隣になったさ。知ってる?武田くん」


　その途端、麻奈ちゃんの顔が見れなくなった。
心の中がざわつき、嫌な感覚に襲われる。
グルグルと黒い感情が渦巻いていく。

　″武田″それは晴の苗字だ。
そう、晴の隣は麻奈ちゃんということ。


「実久留?」


知らない訳ない。
だって好きな人だもの。

なんて言えなくって。
私は「知ってるよ」としか言えなかった。


＿＿その日から麻奈ちゃんから晴の話がよく出るようになった。

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