デキちゃった【太宰治】

疑 心 暗 鬼 ページ10

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太宰「Aも気付いてたとは思うけど、








浮気してたんだ。それも一人じゃない沢山の人とね」









シン、とした空気の中治がボソボソと話し出した









声は渇れていて目は虚ろ。とても浮気者の表情には思えなかった









何か、理由があったのだろうか。









治の表情からは計りきれない心を聞いてみたく黙って話を聞くことにした









太宰「Aに触れたいとかキスしたいとか云う欲を
他の女とAを重ねて身体を満たしてた」









他の女と私を重ねる？治は私に飽きて他の女と浮気してたんじゃないの？









はてなマークが脳内を埋め尽くす









「それは、どうして？」









直接私に触れればいいのにとか、なにそれ、とか









他に云うことは沢山あっただろうけど口から出る言葉はただ素朴な疑問。









彼はそれを感じ取ったのか、首を傾げて治一点を見つめる私の頬を愛らしく撫でて涙を溢した









太宰「私の欲を押し付けたらAが壊れたり、汚れてしまいそうで怖かったんだッ....





誰にも触れて欲しくない。Aは純粋で綺麗なまま私の傍に居ればいい、と






だからずっとAに触れないでいた」






「ッ....」









太宰「でもそれが逆にAを傷つけてしまっていたんだね」

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