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『…戻ってきたか』
目を開けると白い空間が広がっていた
戻ってきたのだ
精神の世界に
《しょ、お"ぉぉ、どこにいるの"ぉ?》
掠れた声が向こう側から聞こえた
ボロボロで、血や土が付いたまま彷徨う昔の自分
カラカラと刃こぼれしている刀を引き摺りながら無限に広がるこの世界を彷徨っている
『ここに魈はいない。安心しろ、魈は見たかった』
《嘘だぁ!まだ魔神に、魔神にぃ!お前、魈をどこにやったぁぁ!!!》
振り上げた刀を避け、抱きしめる
鉄の香りが鼻を擽る
『辛いな、儂も辛かったからお前の苦しみは分かる』
だってお前は儂の不安が具現化したものだから
業障が具現化するのを手助けしたらしく、儂の“人格”を狂わせにきた
今は魈がいるが、気がついた時にはそれが夢で隣に魈がいないのではないかと思う時がある
ずっと怖かった
《…信じてしまえば、失った時が辛くなる》
『うん』
《拾ってもらって、一緒に過ごした記憶は全て夢で、現実なんかじゃなければ良かったと思ってた。今が辛いから》
『そうだね』
《魈が見つかったの分かってた。だって、お前は儂だから。でも、信じたくなかった。それが夢だと自分に思い込ませてた》
『うん』
《業障、あまり取り込んだらダメだよ。また儂みたいのが出てきちゃうから》
『善処するよ』
《がんばってね》
あぁ、瞑想が終わった
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海百合クラゲ(プロフ) - レイさん» 今回そういう書き方したからこの書き方を変えるつもりはないよ。変えるとしたら次の新作かな。 (2月26日 0時) (レス) id: a38a157b30 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - セリフと説明文関係なく全部行間ひとつ空いていて読みづらい... (2月14日 22時) (レス) @page12 id: 1a788f23e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海百合クラゲ | 作成日時:2024年2月12日 22時