とある六つ子を養うことになりました (ページ7)

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葬式場ページ7

▽

つ、疲れた。やっと葬儀終わった。

てか顔見ても誰か分からなかった。
ガチで申し訳ないけど。
本当に申し訳ないけど。

本当に分からなかった。

悪気はないんです…。

葬儀終わっても誰も帰ろうとしなかったので
その場でつっ立っていると足元に何かがぶつかった。

「…」
下を見るとそこには小さい子どもが居た。

その子どもは私が見た時にはもう既に遠い場所に居て、色んな人の足にぶつかりながらも棺の前へと向かって行った。

「あの子…」

「あの子はね、柚音さんの息子さん」
「えっ、息子さん！？」
てか誰！？

声をかけてくれた人はお義母さんと同じような年齢の方だった。

ももしかして、この人私の知り合い？
そう思って数秒固まっていると相手は察してくれたのかあぁと呟いた。

そして笑顔で話を続ける。

「私柚音さんの同僚だったの。

といってもあの人仕事一筋って感じだからあまり関わったことは無いんだけどね」
……良かった。知り合いじゃなかった。

「あの子、来年小学生なんだって」
そう言って小さな子を見る同僚さん。
私も釣られて小さな子を見る。

「良いランドセルを買ってあげたいってこの前話してたの聞いたから、あの子のために仕事頑張ってたんでしょうね。

…その矢先がこれなんて」

何か暗くなっちゃった。
だから私人と話すの苦手なんだよぉ。

こんなふうに周りをシーンとさせちゃうし。
なんとか、何とか話をそらさないと。

えーと、えーと…。

「あ！あの子小学生なんですね。
……あれ、柚音さんの年齢にしてはその」
子どもとの歳の差が、ありすぎるような…。

四十路で小学生って遅くない？
しかも第一子でしょ？
私が変なのか？
当たり前なのか？

同僚さんもそう思ったのか一つ頷いた。
「まあ、ね」

ま、まずい！更にしんみりした空気になってしまった！
うわあ、何か、何か話題を…。

いきなりうちの店長の話をするのはダメだよなぁ。
うーーん。

「で、あの子どもどうするの？」
頭をグルグルと回転させているとそんな声が聞こえてきた。

「うちじゃ無理よ」
「うちだって、もう二人もいるし」
「貴方子ども欲しいっていってたじゃない？」
「他人の子は無理よ」
「あの子静かで不気味だし」

「ましてや、柚音さんとこの子どもなんて」

その声は葬儀場によく響いた。