【第二章:長男を養うことになりました】 ページ5
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仕事の休憩時間中、従業員しか入れない部屋で私はお義母さんと電話をしていた。
「え?葬式?」
「そうそう。本当は私が行く予定だったんだけど外せない会議になっちゃって、貴方その日仕事無いでしょ?」
「そ、そうだけど…」
なんで知ってるんだ?
お義母さんにバレたら休みの日に絶対凸されるから教えてなかったのに…。
あ、分かった。
絶対あの店長さんじゃん。
私の予定知ってるのあの人だけだし。
クッソ、あのオネェ店長め。
勝手にお義母さんに私の予定流しやがって。
今度会ったら蹴り入れてやる。避けられそうだけど。
そうイラついていると、頭の中で店長がウィンクしておまけに星まで飛ばしてきた。
よし、今度あったら卍固めしてやろう。蹴りよりも確実だ。
出来るかは分からないけど。
「で、葬式って、一体誰の?」
「
覚えてる?」
うめはらゆね?
………誰だ?冗談抜きで誰かわかんない。
梅原なんて苗字も初めて聞いた。
私が何も言わないことで察したのか、お義母さんは話を切り出した。
「梅原さんは、Aが二三歳の頃によく遊んでくれた方よ」
二三歳?それってまだ幼稚園児になったばかりの頃じゃん。
「本当に仲良かったの。
招待状貰って、梅原さんの結婚式にも行ったのよ。
昔のことだから覚えていないのも無理ないけどね」
へぇ…。
結婚式に誘われるってことは本当に仲良かったっぽい。
あれ?じゃあなんで最近は会ってなかったんだろ。
それなのに葬儀には呼ぶんだ。
私の心でも読んでいるのか、
「葬儀に呼ばれたのは、
梅原さんの手紙にウチの連絡先が入ってたからなの。
お世話になったから行くつもりだったんだけど…」
「外せない仕事が入ったんだね」
「そうなのよ。だから行ってくれない?」
どうせ拒否権ないんでしょ。
私の予定も知ってたぐらいなんだから。
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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時