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▽
「凄い、すごいね貴方」
「……アハハ」
あの後同僚さんの元に戻ったら色んな人にもみくちゃにされた。知らない人に囲まれる体験なんかもう二度と来ないと思う。
「あれ、そういえば…」
あの男の子。いないな。
え、あのまま外に出たのに誰も追いかけてないのか?
うっそ。探しにいかないと。
私はその場から気づかれないように逃げた。
周りが盛り上がってる時には案外気づかれないものだね。
「どこに行ったんだろ…」
受付さんに聞いたら裏手の公園に居るって言ってたけど、まさか遠くに行っちゃったりしてないよね。
受付さんなりにあの子を気遣った結果なんだろうけどさ、
傍にいてあげるとかしてあげなよ…
まあ受付の仕事があるから無理なんだろうけど。
「あ」
居た。
公園と言っても小さな物だった。
遊具は砂場とジャングルジムとブランコのみ。
男の子はブランコに座って、目を手で擦りながら泣いていた。
そりゃそうだもん。
あんな酷いことをいわれて泣かない子なんていないよ。
仲が良かったお母さんが亡くなって、
悲しまない子どもなんていないよ。
__さて、なんて声をかけようか。
本当にマジでなんて声かければいいんだ?
こういう泣いてる子に対してなんて声をかければ正解なんだ?
しかも内容がかなりデリケート。
こんなの育児本にも乗ってないよ!!
一先ず大丈夫って声をかければいい?
見るからに大丈夫じゃなさそうだけど。
ああっ、あんなに目を擦ったら絶対腫れるよ!
ええい!ままよ!
私は人という字を3回書いて飲み、
男の子に近づいた。
「ボク、お姉さんとお話しない?」
そう言って彼の前でしゃがんだ。
なるべく下から彼を見るように。
男の子は手を目元から離した。
あれ、待ってこの顔…。
「おッ」
そ松兄さんじゃん!
なんで気づかなかったんだ?
既視感どころじゃないレベルで知ってる顔なんですけど!!
「?」
「ううん!なんでもないよ!!」
何でもなくない。
どうしよ頭の中真っ白になった。
葛藤してる。
おそ松兄さんの泣き顔なんてレアすぎで尊いっていう気持ちと、
はやく慰めないとっていう気持ちと、
なんでここにおそ松兄さんが居るのっていう気持ちが、
葛藤してる!!
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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時