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6話 ページ8

「ようこそお越しくださいました!今宵はどうか、最後まで楽しんでいって下さいね!」

煌々と輝くスポットライト。美しい身体のラインを引き立たせるドレス。控えめながらも存在感のあるアクセサリー。ハーフアップで編み込まれた艶やかな髪。ステージでも映えるよう施された華やかなメイク。

そのどれもが、Aの美しさを引き立たせていた。

熱に浮かされた目でAを見つめる野郎共を鼻で笑う。
てめぇらがいくら貢ごうが、願おうが、Aは俺様の女だ。
天地がひっくり返ろうが、触れることすら叶わねぇ。今はせいぜい、一夜の夢を見てるがいい。

Aの透き通る歌声を聴きながら、酒を煽る。

あぁ、最高に気分がいい。

「…見事な歌声だ」
「えぇ…何度聴いても、心が揺さぶられます」

理鶯も銃兎も、Aの歌声に酔いしれる。

「感謝しろよお前ら。こんな特等席で見れるのも俺のお陰だからな?」

ドセンターの、一番前。何も遮るものなく、Aの姿を目に焼き付けることが出来る正に特等席だ。

ステージに立つAは”stray catの歌姫”でいたがる。故に、観客には同等のサービスを振る舞い、決して誰かの特別であろうとしない。

それでも、たまにふと目が合った瞬間、嬉しそうな、恥ずかしそうな表情を見せるのが堪らなく愛おしい。

「上機嫌だな、左馬刻」

ウイスキーを傾け、理鶯が静かに呟く。

上機嫌だって?当たり前だろ。

「そりゃあ、これだけ魅力あるAが、他の誰でもない自分の恋人なんですから。この上ない優越感でしょうね」
「分かってんじゃねぇか、銃兎」

透き通るような歌声も、花の咲くような笑顔も、全部全部、俺のものだ。

目の前で楽しそうに歌うAを見つめ、言いようのない愛おしさを感じながら、酒を流し込んだ。

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和三盆糖(プロフ) - 香織さん» 閲覧、コメント誠にありがとうございます。ベタ甘な左馬刻さまが刺さったようで嬉しいです…!!マイペース更新にはなりますが、引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。 (2021年6月6日 17時) (レス) id: 4f53f84ba0 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆糖(プロフ) - さちゃんさん» コメントいただいたのに直ぐに気付くことができず、お返事出来ておらず申し訳ございません。かなり時間が経ってしまったのでもう届かないかもしれませんが…閲覧、コメント誠にありがとうございます。どうにか完結まで頑張りますので、また遊びにいらして下さい。 (2021年6月6日 17時) (レス) id: 4f53f84ba0 (このIDを非表示/違反報告)
香織(プロフ) - 久々の更新ありがとうございます!とても気になる展開と安定の左馬刻さまっぷりで最高です。続きを楽しみにしてます! (2021年6月5日 23時) (レス) id: be1cefb69b (このIDを非表示/違反報告)
さちゃん(プロフ) - とてもすきですT_T更新楽しみにしています>_< (2020年4月6日 1時) (レス) id: ffa613b322 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:和三盆糖 | 作成日時:2019年3月3日 19時

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