17話 ページ19
電話を終えて戻ってくれば、そこには今にもAを殴ろうとしている女がいた。
避けるでもなく、そのまま受け入れる様に目を瞑っているA。
バカか、事を荒立てたくないとはいえ、相手の暴力に身を任せるなんて。
力任せに女の腕を掴む。
あぁ、こんな奴らが、Aを傷付けたなんて、
腹立たしくて、堪らない。
女に手を上げるのは不本意だが、こいつを、Aを傷つけるのなら容赦などいらない。
気付けば自分でも力加減が分からなくなるほど、腕を掴み上げていて、
Aに名を呼ばれなければ、確実に捻り潰していた。
あぁ、心優しいAに感謝しろよ女共。
これ以上は手も口も出さない。文字通り、いないも同然の振る舞いをしてやるから、だからさっさと、俺達の前から居なくなれ。
女共に知らしめるため、わざと目の前でAを甘やかす。
猫のように擦り寄る仕草が堪らなく愛おしくて、思わず、額に口付けを一つ。
途端、背後の女共が息を飲む気配がした。
いい加減、自分達が入り込む隙などないことを理解できないものか。
Aの柔らかな髪を撫でながら、駄目押しとばかりに睨みつければ、途端、血相を変えて去っていった。
「…さ、左馬刻、さま？」
「あ？」
やっと邪魔者が居なくなった。
思う存分Aを可愛がろうと髪を撫でる手をそのままに、目元に唇を寄せれば、控えめに押し返される。
「あの…もうあの人達、行っちゃいましたよ…？」
「おう、そうだな」
「そ、そろそろ、離していただけると…」
「何だよ、嫌なのか？」
「ち、ちがっ嫌なわけ‼」
「ハッ…分かってる。俺のオヒメサマは恥ずかしがり屋だからなぁ？」
心から嫌がっている訳ではないことを分かった上で聞く俺は、それはそれは意地悪だろう。
困ったような、恨めしそうなAの表情がそれを物語っている。
あぁ、でも、そんな顔して睨まれたって、
「ちっとも怖かねぇぞ。むしろ…そそられる」
驚きで見開かれた瞳。
出来た隙を見逃さず、ほんの一瞬、頬に口付ける。
暫し固まったと思えば、みるみる顔を赤く染めるものだから、思わず笑ってしまう。
先程の凛とした態度は何処へやら。あわあわと慌てる姿は小動物のようで、
あぁ可愛くて堪らない。
Aの表情を堪能しつつ向かいに腰を下ろし、すっかり冷めてしまったコーヒーを流し込んだ。
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和三盆糖(プロフ) - 香織さん» 閲覧、コメント誠にありがとうございます。ベタ甘な左馬刻さまが刺さったようで嬉しいです…!!マイペース更新にはなりますが、引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。 (2021年6月6日 17時) (
レス) id: 4f53f84ba0 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆糖(プロフ) - さちゃんさん» コメントいただいたのに直ぐに気付くことができず、お返事出来ておらず申し訳ございません。かなり時間が経ってしまったのでもう届かないかもしれませんが…閲覧、コメント誠にありがとうございます。どうにか完結まで頑張りますので、また遊びにいらして下さい。 (2021年6月6日 17時) (レス) id: 4f53f84ba0 (このIDを非表示/違反報告)
香織(プロフ) - 久々の更新ありがとうございます！とても気になる展開と安定の左馬刻さまっぷりで最高です。続きを楽しみにしてます！ (2021年6月5日 23時) (レス) id: be1cefb69b (このIDを非表示/違反報告)
さちゃん(プロフ) - とてもすきですT_T更新楽しみにしています>_< (2020年4月6日 1時) (レス) id: ffa613b322 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆糖 | 作成日時：2019年3月3日 19時
