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「いやぶるーくごめんって‼︎まだ何もしてないから‼︎」
「まだ?じゃあ僕が来なかったらやってたんだ?」
「あー違う、いや違くないけど、違う‼︎」
「やんサーン?」
私はこの城にきてからというもの、ぶるーくがこうして幹部達としっかり絡んでいるのを間近で見るのは初めてに近くて、
私は数ヶ月しか一緒にいなかったけど、
きりやん様と話すぶるーくは楽しそうで自然で、少しだけ、寂しくなった。
だってあの頃は一番彼と仲が良かったから。
仲が良いのは私だけだと勝手に思い込んでいたから。
『ぶるーく、私は大丈夫だから』
「大丈夫じゃないの‼︎Aは女の子なんだよ⁉︎わかる⁉︎」
『いやそうじゃなくて』
「兎に角‼︎やんさんはAの上に跨るの禁止‼︎」
「ハァ⁉︎俺そんな規制されんの⁉︎」
「そうしないとまたAが危ない目に遭うじゃん!」
「危ない目に遭ったのはどっちかっていうと俺n」
「煩い‼︎禁止‼︎はい終わり‼︎」
「ハァ〜⁉︎」
まるでコントのようにテンポ良く進む会話。
私はぶるーくが余りにも楽しそうだから途中から止める気も失せてしまった。
でも…もう隠せないなら言わないと駄目だよね。
『ぶるーく、聞いて。』
静かに私は彼にそう言った。
ぶるーくは先程と少し違う雰囲気を感じたのか、どうしたの?と聞いてくる。
私は大袈裟に息を吸い込んだ。
『…ぶるーく達なんだ。』
「え?」
『……次のターゲット。』
そう言った後何だか気まずくなって視線を背けた。
沈黙の時間が私の心をザワザワさせる。
『…私はさっき、きりやん様に斬り掛かった。
一発で仕留められなかった時点で暗殺者として失格。
私の失態は依頼者に知られ、信用を失い依頼の続行は不可になる。
私に残されてる選択肢は、此処で罰を受けるか、』
「"ボス"のとこに帰る…?」
『……そう。』
小さく返事をする私にぶるーくは近付き、ベッドの端に腰掛ける。
そして優しく声をかけてくれるんだ。
「僕たちと一緒に生きようよ、A」
『は、………?』
その言葉は、私にとって、光が差したように眩しいもので。
胸が締め付けられて苦しかった。
「僕、Aにタヒんで欲しく無いよ?」
『どうして』
「だって、戻ってもボスの元から"離れる"気でしょ?」
『それは…』
「それにA、ほんとは僕たちと居るの案外悪くないなって思ってるんじゃない?」
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٩( ᐛ )و - 一気読みさせてもらいました!すごい美しい物語で…語彙力が溶かされました()心情の描き方がすごく柔らかくて細かくて心にくるものがありました!この物語に出会って楽しかったです! (2022年12月23日 17時) (レス) @page42 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - あずきさん» コメントありがとうございます…!!!わあああ嬉しいです…!!!!これからも頑張ります^^ (2022年9月30日 20時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 完結おめでとうございます!!これからも応援させてください~!!⸜🙌🏻⸝ (2022年9月30日 19時) (レス) @page43 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです‼︎頑張ります^^| (2022年8月6日 2時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです...。。更新頑張ってください! (2022年8月2日 1時) (レス) @page15 id: 4799d8c49a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆー | 作成日時:2022年7月23日 17時