第76話 ページ40
Aとの一件を打ち明けてから、当然俺たちの間にも気まずい空気が流れた。
「…ねぇ、泉くん」
「なに？」
夜になって仕事から帰ると、雪華から話しかけてきた。
「わたし、Aさんと会ったの。勿論、ただの偶然だけど」
「…何が言いたいの」
彼女とは目を合わせずに言う。
「もう、そんな喧嘩腰にならないでよ〜。ちょっとガールズトークしたの。本当にそれだけよ？」
こいつの事だ。
ガールズトークなんて可愛らしい内容だけで終わるわけない。
「ふーん」
「…わたし、泉くんと離婚なんてしない」
俺がソファーに座ってスマホを触っていると、雪華はわざわざ目の前までやって来る。
「泉くんのことも、Aさんのことも…わたし、絶対許さないから」
「…。」
こいつ、本気だ。
口調も表情も、いつもの穏やかさは何処にも無い。
「…。」
俺が沈黙を貫いていると、痺れを切らしたのか…
「…っ！」
頬に強烈な痛みが走る。
「一言くらい、何か言ってみなさいよ…！」
「…現役アイドルの顔を平手打ち？」
まだ頬の痺れが取れない中、お互いに睨み合うような状況になる。
「…後で後悔しても、知らないんだからね」
吐き捨てるように言って、雪華は寝室へ向かった。
その途中も、扉の開閉の音で彼女の怒りはひしひしと伝わってきた。
“後で後悔しても、知らないんだからね”
その言葉の意味を考えても、全く分からなかった。
ただ、嫌な予感が俺の脳裏をよぎった。
＊＊＊
Aが仕事を休んでいる中でも、俺たちknightsに休みなんて無い。
歌番組の収録の本番前、俺はどうしても気になっていたことをくまくんに聞いてみた。
本当は、人に頼りたくはない。
でも、もしかしたらAに影響があるかもしれない。
「ふーん、女って怖い〜」
「ちょっと、そういうことを聞いてるんじゃないんだけど」
明らかに楽しんでいるくまくんだったけど、突如その表情は変わった。
「気になるね〜、そういうのって、矛先が相手の女の子に向くことが多いし」
「Aに何かあったら俺が守らないといけないから…」
俺が唯一、本気で愛した人だ。
絶対に傷つけるわけにはいかない。
「Aって凄いよね」
「はぁ？」
控え室に置いてあったお菓子をつまみながら、くまくんは呟いた。
「セッちゃん、Aに出会ってから変わったよ…いい方向にね」
「は…何それ」
お願いだから、Aだけは無事でいてよね。
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Kotathubuton09(プロフ) - 頑張ってください！ (2019年3月1日 21時) (
レス) id: 6611921f0f (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - まなまなさん» ありがとうございます！面白いと言っていただけて、私のやる気に繋がってます！更新頑張ります！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - 美咲さん» ありがとうございます！！頑張って更新します！！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
まなまな - もう、早く次の話が見たくて仕方ないです！面白いので更新頑張ってください！ (2019年2月14日 0時) (レス) id: a79d567116 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - このお話、自分の好みドンピシャで毎回更新されるたびに楽しみに読ませていただいてます！応援してますね！！ (2019年2月13日 0時) (レス) id: 2f15307bb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スカーレット＊アルテミス | 作成日時：2018年10月20日 19時
