第50話 ページ14
泉先輩と別れて、お互いに真逆の方向へ向かって歩き出す。
まだ残ってる、あの時の唇の感触。
手の温もり。
そして、結婚していたという事実。
そりゃそうだよね、泉先輩だってもう大人だし。
でも泉先輩はまだ20歳だから世間一般的には早い方なのかもしれない。
「…ただいま」
「おうっ、おかえりー！！」
悶々としたまま家に帰ると、いつものレオの声がリビングから響いた。
レオの顔を見た途端に、今日の泉先輩と会ったことに罪悪感を感じた。
私は…もうフラフラしない筈だったのに。
凛月とも約束したじゃない。
だけどさっきからずっと、頭の中は泉先輩のことでいっぱいになってる。
「おーいA？どうかしたのかー？」
「えっ…ううん、何でもないよ！！それよりさ、嵐と司なんだけど…来月あたりに休み取れるって」
レオが何を企んでるのか分からないけど…そんなのいつもの事だからね。
「よーし！じゃあ作戦開始だなっ☆」
また元気に楽譜に向かいペンを走らせるレオの背中を見て、私はほんの少し安心した。
＊＊＊
Aが俺の家と真逆の方向へと歩いて行った。
その家には、れおくんが待ってる。
俺にだって、待ってる人がいる。
「あ、泉くん！！おかえりなさい」
暫くバイクを走らせて着いた家の前には、あいつが立っていた。
「…何やってんの」
まだ春だし、夜は肌寒いってのに。
「少し夜風に当たりに来てたの。泉くんもどう？」
「俺はいい。部屋で仕事するから、あんたは早く寝てなよ」
「もー、結婚してしばらく経つんだから、そろそろ名前で呼んでよ〜」
そう言って俺の後ろをくっつくそいつを放置して、部屋に籠る。
仕事なんて嘘にきまってるのに。
でもそうでもしないと、あいつはずっと俺にくっついて来るから。
俺はあいつのこと、好きでもなんでもないのに。
その時、スマホの通知音が鳴った。
A：追加しました！よろしくお願いします！
もう卒業する時で最後にすると決めていた。
もうAには会わない。
会っても、もうあの関係には戻らない。
俺ってこんなに、意思が弱い奴だったの。
やっぱり忘れられないあの感覚。
お互いに、もうそんな事をしてる場合じゃないってことも充分わかってる。
(また会いたい)
こんなに心の中に残る女は、あんたが初めてだよ。
だから今、こんなにも苦しい。
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Kotathubuton09(プロフ) - 頑張ってください！ (2019年3月1日 21時) (
レス) id: 6611921f0f (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - まなまなさん» ありがとうございます！面白いと言っていただけて、私のやる気に繋がってます！更新頑張ります！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - 美咲さん» ありがとうございます！！頑張って更新します！！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
まなまな - もう、早く次の話が見たくて仕方ないです！面白いので更新頑張ってください！ (2019年2月14日 0時) (レス) id: a79d567116 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - このお話、自分の好みドンピシャで毎回更新されるたびに楽しみに読ませていただいてます！応援してますね！！ (2019年2月13日 0時) (レス) id: 2f15307bb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スカーレット＊アルテミス | 作成日時：2018年10月20日 19時
