ねぇ、愛されヒロインさん。【歌い手】

やっぱりシンプルが一番 ページ24

ジリジリ、という電子音で目が覚める。

まだ布団の中に居たい、なんて欲望を噛み殺しながら、目覚まし時計のストップボタンを押した。


クローゼットの中を漁り、適当に服を選ぶ。

白や灰色、黒などの、シンプルなものばかり。

おしゃれなんて、とうの昔に諦めてしまった。


お店に飾られているような華やかな服、私に似合うはずがない。

光なら、簡単に着こなせるんだろうな。


考えれば考えるほど、惨めになってくる。


暗い考えを振り払うように、階段を降りた。



『おはようございます。』



返事は無かった。

誰も居ない、しんとした部屋。


よし、料理でも作るか。



ガシャン、と冷蔵庫の開く音。

食パン、ジャム、卵、野菜……



トースト、目玉焼き、サラダ辺りが作れそうだ。


８人分のパンを取り出し、３枚ずつオーブンに入れる。

焼いている間に、卵を次々フライパンへと落とす。


野菜の盛り付けや飲み物の用意を終わらせようとしたとき、後ろでガチャ、とドアの開く音がした。


天「おはよー！ん、Aさんご飯作ってくれたの？ありがとうございます！」

浦「おはよ。美味そうに出来てる、作ったの？」


どうやら、天宮さんと浦田さんが起きたみたいだ。


『おはようございます。料理なんて言ったって、簡単なものですよ。
そういえば、他の人達も起こした方が良いですかね？』


天「ん、そーだね。僕、まふくんと96ちゃん起こしてくる！うらたんはさかたんとそらるさんをよろしく！
Aさんは光ちゃんをお願いします！」


浦田さんが明らかに嫌そうな顔をする。

坂田さん、起きなさそうだもんな。


しかし、こっちも大変そうだ。

たしか、光の部屋は一階のはず。


長い廊下を歩いていると、一目見れば分かる、光の部屋があった。

ドアにまで装飾が施されている。


派手だなぁ。


ドアを開けると、いかにも女の子らしい部屋が広がる。

真ん中に位置するベットには、可愛らしい女の子がすやすやと眠っていた。



『光！起きて！』


光「ん……あとごふん……だけ…」


聞き取れるか聞き取れないかくらいの音量で呟く。

やっぱりか……


息を吸い込む。


『起きて！！！朝ごはんできてんの！冷めるよ！』


さっきよりも声を張り上げてみれば、『ねむた……』と言いながらも、渋々起きてくれた。

目がぱっちりと開いたのを確認し、部屋を後にする。



リビングに行くと、浦田さんと坂田さん以外は集まっていた。

噂をすれば影、ってことわざ結構当たるよね→←こういうフラグって大体回収される

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