29 ~虹村side~ ページ38
虹村side
帰りの電車の中。
自然と赤司が隣に座ってきた。
Aは察したのか桃井の隣に座った。
赤「で、どうなりましたか」
虹「…こっそりキスした」
赤司の心底軽蔑したような顔。
やめろ。
虹「そんでキスされた」
顔色を変えない赤司。
虹「ちゃんとキスしようとしたら青峰達が来たからできなかった」
赤「はぁ、では正式に、」
虹「最初からそのつもりはねえよ」
じっと俺の目を見つめる赤司。
こいつは1言うだけで全てを理解する。
もしかして何も言わなくても
全て見透かしているんじゃないかって
思ったりもするけど。
赤「虹村さんが思ってる以上にAさんは虹村さんが好きですよ」
虹「んなこと分かっとるわ」
赤司は最初から俺が
そのつもりがないことを
知りながらこんなことを言っているんだろう
てことは、赤司に今説得されてる…?
虹「おめぇがそんなこと言う奴だとは思わなかったよ」
そう言って睨み付けると
赤司はくすくすと笑いだした。
赤「すみません、俺は虹村さんよりAさんの方が好きなので」
虹「だろうなァ」
赤「幸せになってもらいたいんですよ、Aさんにも虹村さんにも」
虹「よくもまぁそんなくせぇことが言えるな、流石王子様」
赤「俺もこんなこと無責任に言っているわけじゃないんですよ、お二人ならきっと、遠距離でもやっていけると信じているからです」
虹「当事者でもねぇのによくそんなこと言えるね」
赤「みんなそう思ってますよ、だからこんなにみんな心配するんです」
虹「ありがてーこった」
赤「照れないでください」
虹「へーへー」
赤「一体虹村さんのせいで何人が失恋したと思ってるんですか」
愛想も良くてかわいいAは
バスケ部の奴だけじゃなく、
同じクラス、その上違うクラスの奴にも
告白されたことがあると聞いた。
虹「諦める方が悪ぃ」
赤「余裕ですね」
虹「そりゃあいつ俺の事好きだからな」
赤「それは見たら分かりますけど、付き合ってないのになぜそんなに余裕なのか俺には分からないです」
大体欲しくないんですか?
Aさんのこと
冷たい目で俺を見る赤司。
この顔俺にもすんのかよ。
虹「言い方」
呆れ顔で言葉を返すと
面白くなさそうな顔をした。
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作者名:夢莉 | 作成日時:2019年8月14日 16時